あの日の真実1


2人で家に帰って玄関で我慢できずゆせの首に腕をかけてキスをせがむと、嬉しそうにわたしを抱きしめて答えてくれるゆせ。どうしよう、ベッドまで待てなー――ピンポーン!ピンポンピンポンピンポン!!連打されて苦笑い。こんな押し方する奴は1人しかいない。


「雪乃さん!雪乃さん!!」


やっぱりなネコの声に苦笑いでゆせから離れた。ゆせの口についた私のグロスを指で拭うと照れくさそうに微笑んだ。

がチャリと鍵を開けると、待っていたかのようにあちら側からドアを開けられた。


「雪乃さん!直人さん帰ってきた!!」


それはまるで今日初めて知ったかのような言い方だった。哲也先輩、徹底してる?なんて苦笑い。


「今日村上の付き添いで外出して戻ったらもう雪乃さんいなくて、心配で来たのに、なんでゆせくんいるのぉ!?」


なんとも天邪鬼なネコの言葉に私もゆせも笑ってネコを家に上げた。急いで哲也先輩にネコを迎えにきて!ってLINEするけど、もしかしたら直人は哲也先輩のとこなのかも、なんて軽く思った。

ズカズカあがってきてゆせを見るなりゲンナリ溜息を零すネコに甘いココアを出してあげるとフーフー冷ましながらそれを一口飲む。


「…哲也先輩に連絡したから。」
「…ゆせくん退いて!」


ソファーに座って腕を組むネコに「ご飯食べてく?」そう聞くと小さく頷いた。だからゆせが私のエプロンをつけてキッチンに立つ。

ここにはネコと私の二人きりだ。


「ネコも知らなかった?」
「知るわけない!知ってたら雪乃さんに言ってるもん!」


うんまぁ、そうだろね。今みたいなすごい剣幕で私の前に現れるんだろうねって。


「ネコあのね。聞いて欲しいの。」
「………、」
「直人さんはたぶん研修が終わったから帰ってきたんだよね。あの日ネコに言ったと思うけど、ロスに行く時直人さんは私の未来を手放したの。だからもう、」


目の前でスンスン泣き出すネコ。思わず言葉を止めた私に、静かに首を振った。


「直人さんが可哀想。分かってるよ雪乃さんには今ゆせくんがいるって、でもやっぱり直人さんの気持ちは雪乃さんに伝えたい!」


気持ち?え?なに?キョトンとネコを見つめる私にネコはLINEを開くと哲也先輩だろうか、泣いてる猫のスタンプを一つポコンと貼り付けた。


「てっちゃんには絶対に雪乃さんにだけは言うなって言われてました。でも、できない…、」


続くネコの言葉に、胸がぎゅっと締め付けられる―――――――



「雪乃さんの誕生日のあの日、直人さん雪乃さんに指輪渡しに帰国してたんです!!」


…キッチンでカタンってゆせが何かを落とす音がしたけど、私は動くこともできないんだ。