あの日の真実3


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「…今日はもう帰ろうか?俺。」


あれからネコと直人を連れて帰ってくれた哲也先輩。勿論ながらネコは話し足りないって不満顔で。

ちょっとだけネコに嫌われているゆせを不憫に思う。


「…え?あの、」
「俺が傍にいない方がいいなら、」
「いて!!傍にいて。ずっといて…。」


絞り出すような私の声にコツってゆせのおデコが私の額に重なる。


「なんだよそんな声。そんな悲しそうな声出すなよ…、」


そう言うゆせの方が泣きそうな掠れた声なのに。ほとんど泣いてるみたいなゆせは私の両頬を大きな手で優しく包み込んだ。


「泣かせたくなんてないのに、」


溢れそうな涙をグッと堪えて飲み込む私を見てふわりと抱きしめた。


「ゆせ…、」
「うん?」
「私はゆせが好きよ。今目の前にゆせがいる事が、私の真実だから。だからそんな顔もうしないで。」


…大人ぶってそんな余裕な言葉を並べているけど、心の中は動揺している。だって信じられない、直人が私との未来を今でも見ているなんて。

あの日全部ロスに置いてきたのに。身一つで戻った私を、ゆせが優しく包んでくれたのに…


「雪乃…、」


コツっとおデコを合わせて名前を呼んだゆせは、私の頬に手を添えてゆっくりとその綺麗な顔を近づけた。

迷うことなく重なる唇に胸の奥が熱くなる。胡座をかいて座っているゆせの首に腕をかけてラッコ座り。何度も角度を変えて重なる唇からは甘いゆせの吐息が漏れて子宮がキュっと音をたてる。


「…止まんない、」


小さく呟いたゆせの赤みがかった唇をペロリと舐めると、私の後頭部を手で抱えながら大きなラグマットの上に押し倒された。

キスも指も舌も声も、ゆせから繰り出される愛撫全てが直人とは全く違う。

昔の男の愛し方なんてもう忘れた。上書きされて覚えてない…。


「勇征…」
「それ好き。えっちの時だけちゃんと呼ぶ雪乃、ちょっとずるい。」


耳朶を甘噛みしながらジュルリと吸うゆせにちょっと頬が緩んだ。


「耳、感じる?」


わざと煽るゆせに頭の片隅にいたかもしれない直人をパタンと消した。これでいい。これが現実。ふわりと抱きついて「もっとして、」甘える私にゆせの全部が舞い降りた―――――