ゆせに堂々、宣戦布告した直人は、翌日からホテルマンの研修担当を終えると私の元にえみと岩ちゃんの結婚式の打ち合わせをしにやって来た。
正直まだ一緒に創る気分ではない。でも仕事に私情は持ち込みたくはないし、できることならえみ達の希望を叶えてあげたい。
「あっちのホテルマンはウェディングもてがけるんだ?」
「まぁそれもあって手っ取り早くロス行ったから。」
私は知らなかった事が次々と浮上する。ゆせに貰った右手の薬指についている指輪をジッと眺めている直人。本当ならそこについてるのは別の指輪だったかもしれない…そんな事、考えているのだろうか?
「じゃあ日取りはこの日で。えみのお腹が安定期に入ってからのがいいし。ね?」
横並びに座る私と直人を見て笑みを浮かべている岩ちゃんとえみ。そんな嬉しそうな顔されるなんて。
「それにしても岩ちゃんがパパかぁ!なんか信じらんないなぁ!」
「自然の流れですよ、直人さん!」
「どっちが欲しいの?」
「そりゃまぁ…やっぱりえみに似た女の子。でも元気に生まれてくれたらそれだけで十分です!」
…直人の声が心地好く耳に入ってくる。私達も普通にいけば今頃ママにでもなっていたのだろうか?変わってしまった未来を今更取り返す事はできない。でも直人の気持ちが離れていなかった事実が、ほんの少し嬉しいなんて。
「身内の式は初めてだなぁ。哲也先輩とネコが最初かな?なんて思ってたけど。」
岩ちゃんよりも年上の哲也先輩は、結婚も視野に入れてネコの面倒を見ているんだって思っているから。あの二人はなんだかんだで仲良しだし、
「まぁ、色々あんじゃん?ネコはさ、」
「え?」
「…あーいや、なんでもねぇ。それより雪乃、明日暇?」
「…明日?」
「うん。物件見るのちょっと手伝って欲しくて。」
「え、直人さんどこにいるの?」
「あーしばらくホテル暮らし。さすがに何日も哲也さんとこいたらネコに追い出されると思って。」
「なんだそれならうち、…あ、ごめん間違い。」
―――にきたらいいよ。
無意識でそんな事を言いそうになっていた。タイミングよくこの部屋にゆせが顔を出したからその言葉を止めたけど、今の聞いてないよね?
「ゆせ!」
立ち上がってゆせの所に駆け寄る私の腕をキュッと握った。
だから直人がネコの話を止めた事に気づかなった―――。