ネコと哲也先輩1


「ネ〜コ。最近ずうっとそのブスッ面してるけど、元気?」


お昼。ここの所仕事もバタバタしていてなかなかネコの相手もおざなりになっていたせいか、すこぶる機嫌が悪い。


「ほら、ネコの好きなチョコマフィンもあるよ!」
「いただきます。」
「食うんじゃん!」
「そりゃ食べます。この子に罪はないから。」


パクっとマフィンを齧るネコの頭をふわっと撫でた。途端に泣きそうな顔をするネコ。え、どうした?苦笑いでネコを見つめると、すぐさま目を逸らされた。


「…ゆせくんとの同棲は順調ですか?」


なるほど、それが原因か、と。


「相変わらず早いね、情報。」
「知りたくなかったけど、ゆせくんが自慢気に合鍵見せつけてきたんですよ。腹立つ。」
「…ゆせそんなことしたの?」
「してます。雪乃さんとの惚気をしょっちゅうあたしに話すとか完全に喧嘩売ってますよね、ゆせくん。」


ぶーぶー文句を言うネコに、なんてことなく至って普通に聞いたんだ。


「ネコはさ、哲也先輩と結婚しないの?」


だけどネコは突然顔を曇らせて俯いてしまう。あれ?なんかまずかった?


「…ネコ?」
「え?あ、っとなんでしたっけ?」


動揺?目を泳がせるこんなネコ、今まで見たこともない。いつだって哲也先輩が大好きで、その身体全部で愛を伝えていたと思っていたネコだけど、私はネコを誤解していたのかもしれない。


「私、最初に結婚するのは哲也先輩とネコだと思っていたから。哲也先輩は直人さんの一つ上だし、そろそろ適齢期、だよね?プロポーズとか、
「…雪乃さん!!!!ごめんお腹痛い。これ全部食べて下さい。先に戻りますね。」


…なに?言葉を遮ったネコは私と視線も合わさずに席を立って社食から出て行ってしまった。

ポツリ取り残された私の横、「隣いい?」タイミングがいいのか悪いのか、イエスなんて言ってないのに直人が座ったんだ。