「無理無理無理無理!そんなこと絶対にできないよっ!!何考えてるのっ、岩ちゃんまでっ!!!」
…まぁそうなると思ってたけど。えみの事だから確実に断るだろうって。
直人の研修が終わってからウェディング部で昨日できなかった2人の式の打ち合わせ。今朝の話をした直人に向かってえみが思いっきり首を横に振った。
苦笑いの岩ちゃんは何も言えなくて。涙目で私を見つめるえみの腕をそっと掴んだ。
「…雪乃、」
「…私は使えないから、えみに…えみと岩ちゃんで使って欲しい。」
「…でも、そんな直人さんの想いが募った場所、」
「いいんだ、えみちゃん。雪乃の言う通り、俺の女々しさもたまには役に立ったろ!な?」
ポスッて私の頭を撫でる直人に私もほんのり笑う。
えみの言う通り、あんな直人の想いが込められた場所…私にも使えない。私にはゆせがいるから。
「直人さんの気持ち無駄にしちゃダメじゃない?逆にさ。」
前向きな岩ちゃんの言葉に私も直人も頷く。それでも最後の最後まで首を降り続けたえみでも、「頼むよ、俺の為にも使ってよ。」そんな直人の言葉にしぶしぶ受け入れてくれた。
「じゃあ、今夜の打ち合わせはここまでで。」
会議室からウェディング部に戻ったけど、そこにゆせの姿はない。あれ?もうとっくに終わってるはずだよね?
LINEを見るとゆせからのメッセージが届いていて。青山達に拉致られたらしく、仕方ないから顔だけ出してくるって…。ゆせもたまには息抜きが必要だよね。私よりずっと若いし。
1人帰り支度をしている私に「雪乃、」直人の声が届いた。キョロキョロと周りを見回すからクスって笑って「ゆせなら青山達と飲みに行ってる。」私の言葉に直人が目を見開いた。
「…少しだけ、時間ある?」
「え?」
「…取って食いやしないけど、俺も雪乃の事本気だから、引き下がるつもりはない。ゆえにこんなチャンスは逃すわけねぇ、」
口端をあげる直人のそーいう自信に満ちた顔…すごくすごく好きだったなんて、心がトクンと音を立てた。
「…うん。少しなら。」
「決まり、行こう!」
すぐに私の背中に腕を添えて誘導していく。