モヤモヤの正体1


「送るよ、家まで。」
「うん。」


直人の腕がまた私の背中を押して駅までの道を軽く誘導していく。

だけど、


「雪乃!」


え?声は確実にゆせのもので。思いっきり走ってこっちに向かってくるゆせに、思わず直人から一歩離れた。


「ゆせ、どうしたの?」
「こっちの台詞!まだ帰ってこないから心配で。LINE見てないの?」
「え、あ、ごめん。地下にいたから、」


汗びっしょりかいてるゆせを見て申し訳なく思う。てっきり青山達と盛り上がってるもんだと思ってたから、ゆせがこんな風に目の前に現れるなんて思ってもみなくて。直人を見たゆせはサッと私の手を取って自分の背中に隠すように前に出た。


「地下で、2人で何してたんですか?」


当たり前に直人に投げつけたゆせの質問。


「飯食ってただけだよ。雪乃がお前に恥じる様な事はしてない。」
「…当たり前です!そんな事になったら絶対許さない。」
「…俺はいつでもその覚悟で雪乃と一緒にいるけど。」
「直人さん!もういいから。ゆせごめんね?本当に何もない。少し話してただけだから。」


ちょっと空気が悪くなりそうで、慌ててゆせの腕をギュッと抱きしめてそう言う。そのままゆせを引っ張るようにして大通りに出てタクシーを拾った。本当はネコのこともっとちゃんと直人に聞きたかった。でも今、私をこんなに探してただろうゆせをほおっておくことなんてできなくて…直人の方を振り返ることなくタクシーに乗り込んだ私は、そっとゆせの肩に頭をあずけた。


「急にどうしたの?」
「…ごめん。陸さん達と話してたら急に不安になって。雪乃何してるんだろ?ってLINE送っても既読にならなくて…。自分でもちょっとおかしいって思ってる、でも相手があの直人さんだって思うと…―――1秒も離しちゃいけない気がして。」
「青山になんか言われた?」


…苦笑いするゆせに調子のいい青山の事が頭をよぎった。