モヤモヤの正体3


―――それでも時間は止まってくれない。

どれだけゆせと肌を重ねても、心のモヤはまだとれない。




翌日。

えみと岩ちゃん。そして私と直人の4人で式場の打ち合わせへと出向いた。こちらサイドで式の準備をしたいからって、その打ち合わせで私達プランナーも同席を求められた。

アニヴェルセルの担当さんが直人を見ると大きくリアクションする。


「片岡様、お待ちしておりました。」


これじゃまるで直人がここで式を挙げるみたいで…実際そのつもりだったんだろうから仕方がないけれど。隣にいる私を見てその担当さんはニッコリと微笑んだ。


「よろしくお願い致します。」


丁寧に頭を下げられてこちらも名刺を渡す。

えみと岩ちゃんの式はアットホームな温かいもので、派手にしなくても2人の愛が詰まったものになれば…って、思っていて。


「ブーケトスはどーする?」
「…ブーケトスかぁ。」


少し考えるような仕草の後、苦笑いで首を横に振った。


「雪乃に渡したらダメかな?」
「…え?」
「もしも私のこの幸せが与えられるのなら、その他大勢じゃなくて、雪乃に渡したい。」


…それは、直人と?ってこと?


「あ、ごめんね。雪乃達はまだそーいうんじゃないかな。」


結婚の話が出てるわけじゃない。でも…―――右手の薬指に嵌めてあるそのリングをキュっと触る。これは予約だって。いつか本物をってあの時ゆせは私に言ってくれて…

その気持ちも何もかもがすごく嬉しかった。


「…欲しい私。ゆせはきっとちゃんと本物買ってくれるって、だから。」


直人がどんな顔でどんな気持ちでいるのか分からないけど、文句一つ言わない大人な直人は、ジャケットのポケットにそっと手をしまったんだ。