「哲也先輩馬鹿よ。」
医務室のベッドの上、青白い顔の哲也先輩が目を覚まして、ネコの事を聞き出した。
どうしてみんな一人で抱え込むんだろうか?なんて思うけれど、そんな事私自身が一番分かっている。直人のいない2年間、1度も直人への気持ちを話さなかったのは他の誰でもない私で。
直人のいない現実を受け入れるのが怖かったんだ。だから哲也先輩も、他の男の所へいくネコを受け止められなかったのかも?しれないね。
「過労、疲労、極度のストレス、食欲不振、その他諸々…。一言言ってよ、てっちゃん。そんな世界で一人ぼっちみたいな顔、すんなよ。」
直人の言葉に軽く微笑む哲也先輩。とりあえずネコを取り戻さないと!って、哲也先輩からネコの浮気相手らしい神谷健太の電話番号を預かった。
「ねぇ、そもそもなんで哲也先輩ネコの相手の番号知ってるの?普通、知らないよね?」
直人と会社を出てとりあえず立ち止まる。社内で誰かには聞かれても困るしって。
「まぁあながち、別れて欲しい…とでも言われたんじゃねぇか、この男に。」
「…ネコはさ、そんなにまでこの男を頼ってるのかな?哲也先輩の何がいけないのよ。」
「…アイツなりに考えたけど、それでもこの男を選んでたら、雪乃どーする?」
ネコの事、もっとちゃんと見ておけばよかった。もっとちゃんとネコの寂しさに気づいてあげられたらよかった。もっとネコの言葉を聞いてあげればよかった…。
今思うのは後悔だけで。何も知らなかった自分が情けなく思えた。
どこかでSOSを出していたのかもしれないそれに気づけなきゃ、ネコも私にはそれ以上何も言えないよね、きっと。
「それでもネコは哲也先輩だけしかいない。そう信じてる。」
「…俺も、雪乃しかいないよ。」
こんな時に何言ってんの!!なんて言えたらゆせに合わせる顔もあるのかな?
その言葉は嬉しくて、私をほんのり抱き寄せた直人をやっぱり拒否なんてできやしない。