ネコの行方3


意を決してその番号に電話をかけた。さっきのネコと同じで聞こえるのは冷たい機械音。それでも切らずにずっとかけていた。


【…誰?】


不意に聞こえたハスキーな声に直人の腕を掴む。


「保科雪乃です。今そこにうちのネコお邪魔してますよね?」
【…は、ネコ?】
「そうよ。立花朝海いますよね?」
【あっ、雪乃って、直人さんの雪乃さん?】


…まさかの直人の名前に苦笑いしつつ「そうよ。ネコいるんでしょ?」…話が通ってるならその方が楽かもしれない。


【すいません、隣で寝てます。】


状況を想像するだけで頭が痛くなる。額に手を翳す私に、直人がスマホを奪い取った。


「もしもし?片岡です。片岡直人です。今から会えませんか?話があるんで。ネコ連れて出てきてほしい。」
【…わかりました。】


電話を切ると私の手に戻す直人。そのままそっと私の手を握ってそれをスーツのポケットに仕舞う。中でキュっと指を絡めた直人は「会社じゃできねぇから。」…チラっと私を見て目を逸らす直人は照れてるって分かる。

そーいう顔、たまらなく好きだったから。


「…いつからそんな甘えん坊だった?」


私も恥ずかしくなってそんな冗談。


「前からだよ、雪乃と以外はこんな事絶対しねぇけど。」
「もう。」


この温もり、ほんの一時だけじゃ足りないよ。