愛してるから…2


「朝海にご主人様がいることも全部分かっててそれでも諦められなかったんです。…結婚したいって思ってます、朝海と。」


初耳だったのか、チャラ男の言葉に大きな目を更に大きく見開くネコ。


「神谷健太だっけ?仕事は何してるの?」
「一応、カメラマンです。」
「…ネコを養えるだけの蓄えはあるの?」
「それは、あの、」
「雪乃さんっ!お願いしますっ!許して。ずっとずっと寂しかった。直人さんがロスに行ってからずっと。てっちゃんも雪乃さんも自分の心の奥にある本音は1度だってあたしに話してくれなかったよ。それがずっと寂しかった。健太はなんでも聞いてくれてなんでも話してくれるの。あたし健太じゃなきゃダメなの!てっちゃんじゃ…一緒にいて疲れる。」


溜まっていたんだろうネコの気持ち。それは誰が見ても本音で。いつだって明るくて笑顔で、雪乃さん、雪乃さんって懐いてくれていたネコを、そんな風に思わせて追い込んでいたのは私だったんだと。

ネコの言葉に何も言い返すことができない私の隣、「ネコ、もういい。」今まで黙っていた直人が漸く口を開いた。


「雪乃もてっちゃんも不器用なんだ。俺はそれを分かった上で2人とこれからも一緒にいたいって思ってる。」


それから私を見てほんのり微笑むと「自分を責めるな雪乃。お前のせいじゃねぇよ。」テーブルの下、太ももに置きっ放しの私の手に直人がそっと重ねた。この人は、言葉にするのが苦手な私の心をいとも簡単に読み取れる。


「直人さんでも、」
「俺がネコに雪乃を頼むってそう言ったからこいつ頑張ってくれたんだろ?まだネコには荷が重かったな、ごめん。」


知らないよ、そんな話。なによ、それ。


「ずっと言ってました朝海。雪乃さんの相手は絶対に直人さんしかいないって。朝海の願いなんです、お二人は。」


神谷健太の言葉にネコの想いが重なってまた私の心に突き刺さるような感覚だった。