「…――え?一週間も?」
目の前で眉毛を下げて私を見下ろすゆせ。哲也先輩にまだ会いたくないって言うネコをしばらくうちに泊めることにした。だから、
「澤本くんに頼んであるから、本当に申し訳ないけど、とりあえず一週間そっちに移って貰えると助かる。」
あきらかに様子のおかしいネコを連れて来た私に若干の困り顔。
「何があったの?」
「…落ち着いたらちゃんと話すから少しだけ待って欲しい。」
「…俺には言えないようなこと、なんだ?」
ほんの少し責めるような言い方に思えた。それは私の後ろに直人もいるからだって。勿論ながら私自身の気持ちはまだ何もゆせには伝えてない。それすらちゃんと自分で納得してからじゃないと伝えられまい。
「八木には俺から話すよ。」
逃げないようにって、ネコを押さえていた直人が心配すんなって顔で私にそう告げた。
「いいの?」
「あぁ。俺も、八木とサシで話したいし。」
直人の言葉にドキッとする。確かに昨日私と直人の気持ちが通じあった。私はもうこの先直人のいない人生はおくれないと思えるほどに。だけど昨日の今日で自分自身の気持ちもちゃんと整理されてなくてゆせに伝えるのも少し時間がかかると思ってはいたけど…
「あの、直人さん、」
「心配すんな。」
それだけ言うと直人はネコを私に手渡す。
「とりあえず俺もしばらくてっちゃんとこいるから、なんかあったらすぐ呼べよな。」
「うん、ありがとう。」
ポンって私の頭を撫でた手を頬に持っていって優しく触れる直人にゆせが小さく舌打ちしたのが聞こえた。
やば!慌てて直人から離れてネコの腕をギュッと捕まえる。
仕方なく荷物をまとめて家を出て行くゆせ。でも振り返ったゆせは私を引き寄せてネコも直人もいるのに関係なしに強引にキスをした。
「…俺、別れないから。」
まるで分かったようなゆせの言葉に私は何も答えてあげられなくて。自分がゆせに対して酷いことしてるって罪悪感でいっぱいだった。
でもそんなゆせを構うことなく「行くぞ、八木。」直人が連れ出してくれる。やっぱりそーいう対応大人だなぁなんて感心してる場合じゃないけど。
ふぅと一つ溜息をつくと、「雪乃さん。」ネコに名前を呼ばれた。
さっきまで超絶不満顔だったネコはもう、言っちゃえば面白いもの見つけたって顔で。
「…な、に?」
「直人さんとなんかあったでしょ!?」
ネコの洞察力恐るべし!