寂しい赤い糸3


半分モヤっとしたまま、一日を過ごした。

定時であがって一階の受付に顔を出すも、そこにネコの姿はない。


「お疲れ様!ネコは?」
「…あ、えーっと、」


若干困ったように苦笑いする受付嬢達。だからヤラレタ…ってがっくし手をつく。


「私になにか聞かれても答えないで!って言われたのね?」
「…すいません。」


逃げ足だけは早いんだから。でも行き先なんて分かってる。ネコだって私が追ってくる事すら想定内のはず。

本当なら直人と一緒にネコを追いたかったけど、もう日本にはいない。こーいう時、ゆせがいつも傍にいてくれてたんだって、改めて実感する。

少なくとも、直人の代わりだと思った事なんて一度もなかったね、ゆせのこと。

たった一日顔を見ていないだけなのに、何故か胸の奥がポッカリと穴が空いたように寂しいだなんて、今更言えない。

それこそ本当に、今更だよ。


仕方なく帰り支度をしてそのまま神谷健太の住むマンションへと移動した。



「やっぱりここにいた。ネコ…、」
「…帰らないあたし。健太に逢いたい。昨日別れてからずっと健太に逢いたかったよ、雪乃さん。雪乃さんと居ても、心の奥底にはずっと健太に逢いたくて、どうしようもなかったよ。」


神谷健太の部屋の前で体育座りしてそこに顔を埋めているネコ。


「…ネコあのね、直人さんロスに戻ったの。」
「えっ!?なんで!?」


顔を上げたネコは泣いていたのか、目元も頬も濡れていて。そんなに泣く程神谷健太に逢いたかったの?…心に思う疑問は口に出せなくて、結局直人が隣にいなきゃ私は強くもなれないのだろうか?


「仕事。二週間で戻るって言ってた。」
「な、なんだぁ、よかった。」
「直人さんのいない穴は私じゃ埋められないのかな?ネコ、」


ポコってネコの頭に手を置くと、また泣きそうな顔で「それでもあたし、健太がいい。」…どうしたら繋がるんだろう、ネコと哲也先輩の赤い糸は。

私には分からないよ。