二年分の涙4


披露宴は無事に終わりを迎えた。

二年間泣かずに過ごしてきたけれど、それも今日で止まってしまった。でも私が泣いたことなんてネコ以外は知らない。だからこのまま何事もなかったように今日を終わらせればいい…って、



「俺、選曲ミスでしたよね?」


すみません…って頭を下げるのはゆせ。え、なんで?…すっと頬に触れた温もりにキョトンとゆせを見つめる。


「どうして泣いてたんですか?」


なにこいつ。


「見てたの?」
「はい。」


ネコ以外にバレてないって思っていたのに。私よりも泣きそうな顔しているゆせに苦笑いを返す。


「ゆせには関係ない。」
「そうかもですけど…あんな風に泣かれたら気になる。」


指で私のセミロングの赤みがかった髪をくるりと弄られる。スッと一歩後ろに下がると、ゆせの方が一歩こちらに近寄った。


「なに?同情とかいらないから、」
「そんなんじゃないです。ただ純粋に、あなたのこと知りたいって…そう思っちゃダメですか?」


ドンって後ろが壁なことを逆手に流行りの壁ドンでドキンと胸が脈打つ。


「みんなが心配してました、やっと泣いた…って。僕にはそれが何のことかなんて何も分かってないけど、それでも泣くのずっと我慢していたんだって思ったら苦しくて…」
「やめて、もうやめて。」


せっかく止まった涙がまた溢れてしましそうで。ネコだけじゃなく、みんなに気付かれていたんだって今更ながらそれが温かくて、また変な気持ちになる。


「そんなに我慢しなきゃいけないんですか?」
「やめてよ、」
「大丈夫、僕が守るから。おかしいかもしれないけど、本当にそう思ってます、今。」


ふわりとゆせが腕を伸ばして私を捕まえた。こんな展開望んでないのに、ゆせがポンポンって子供をあやすように背中に優しく触れる。その温もりがどこか直人に似ていて、鼻の奥がツーンとする。ゆっくりと視界がボヤけて、また頬をつたう涙に、ズズっと鼻を啜った。

構わないで欲しいの。一人にして欲しいの。見ないで欲しいの。

そう言いたいのに言葉が声にならなくて…


「直人さん…逢いたい…、」


たった一言この言葉を吐き出すのに、二年もかかったなんてね。