外じゃ寒いからって、大通りにあるスタバに3人で入った。
頬杖をついて窓の外をボーっと見ていた。紅茶をちびちび飲むネコは哲也先輩に捕まったからか、大人しい。私が頼んだのはゆせが好きなブラック珈琲。
今日も一度もゆせの顔、見てないなぁーなんて。無意識でゆせに貰った指輪を指で触っていたんだ。
「…雪乃さん、ゆせくんに逢いたいの?」
…え?俯いていたはずのネコが私を真っ直ぐに見ていて。なんて質問?なんでそんなこと。小首を傾げて「どうして?」あえての質問返し。
「今朝、ゆせくんがいると思ってましたよね?…なんか、雪乃さんとゆせくんの生活を垣間見ちゃったようで、ちょっとショックでした。それから珈琲。雪乃さんずっとスタバでも紅茶ばっかり飲んでたのに、そんな苦いの飲む雪乃さんは初めて見た。それはゆせくんの香り…ですよね?」
自分じゃ無意識だったけど、確かにどちらかというと珈琲よりも紅茶派だった。でもゆせと一緒にいるようになってからは、ゆせが好きなブラックも飲むようになって…―――
「雪乃さんは、好きな人でも自分の好みと合わなきゃ別々だったはずなのに、ゆせくんに合わせてるんですか?」
「ネコ、あの、」
「指輪、さっきからずっと触ってる。まるでゆせくんの事探してるみたいに…。」
「そんなことない、」
「直人さんと思いが通じたはずでしょ?やっぱり雪乃さんには直人さんしかいないって、確信したんだよね?今の雪乃さんは、ゆせくんの雪乃さんにしか見えないよ。」
何も言い返せなくて。直人の事、あんなに必要だって思ったのに、ネコの言うことを否定なんてできなくて。
胸がぎゅっと痛い。
「…今日は、ゆせに会ってないから、だよ。」
「直人さんは?ロスに行ってた間、雪乃さん寂しかったでしょ?その隙間埋める為にゆせくんの事受け入れたんでしょ?」
「違う。そんなわけない。ゆせは直人さんの代わりなんかじゃない。代わりになんてできるわけない。ネコとは違う!私は寂しいって理由だけで男を作らない―――…ってごめん、ネコ。言い過ぎたね」
そこまで言い切った瞬間、ネコが目を伏せて首を横に振る。
それ以上何も言い返すことのないネコに私は小さく息を吐き出した。
言葉にする事もできないこの想い、もうどうしたらいいのか分からないんだ。