「俺、必要ないじゃん。」
悔しそうに続けたゆせの言葉に胸に矢が突き刺さったかのように痛くて。
「ごめんなさい。」
謝るしかできない現実でも、その先にある伝えたい言葉を言わなきゃ前には進めない。
「俺と過ごした時間は、何の意味もなかったんだね、雪乃にとって。やっぱり俺は直人さんにて勝てないし、ましてや代わりになんてなれなかった、」
「違うの、ゆせ!!お願い、最後まで聞いて欲しい…。」
今にも出て行ってしまいそうなゆせにただ懇願するしかできない。ここでゆせが出て行ったら私は直人の元に戻るだけで。そこにきっと幸せは沢山ある。直人を選べば少なからず未来はあるって分かるし、それが今の私って人間の正しい選択肢だとも思える。
「直人さんの代わりでいいなら、ゆせじゃなくてよかった。確かに最初は直人さんのいない寂しさを埋める術だったかもしれない。でも違う。ゆせは誰の代わりでもないよ。ゆせがいなかったら私、こんなに強くいられなかった。何も言わなくても何でも分かってくれる直人さんといたら幸せだと思うけど、ゆせと一緒にいたい。この三日間、直人さんのいない日本よりも、ゆせのいない家の方がずっと寂しかった。」
どうか伝わって欲しい、ゆせに。
どうかどうか、届いて欲しい、この想い。
「…俺、どんな事があっても雪乃の傍にいるって決めたんだ、あの日。少しでも雪乃が俺を想って、俺を必要としてくれるなら、それが俺の真実で全てだって。」
「ゆせ…。」
「好きだよ、雪乃が。」
「私も、ゆせが好き。」
「もっともっといい男になって、雪乃が誰にも揺れないよう必ずなる。だから…これ、」
いつの間に用意していたのか?スッとゆせがジャケットから取り出したそれに胸がトクンと音を立てる。
テーブルの上、黒くて小さなその箱をそっとゆせが開けた。
「保科雪乃さん。」
「はい。」
「僕と、結婚してください。一生かけてあなたを幸せにします。どんな時も、二人で一緒にいたい。もう、離したくない。」
―――ゆせのありったけの愛が私に届いた。