「これで雪乃も幸せになれるってな?おめでとさん!」
ポンポンって直人が頭を優しく撫でた。
「直人さんも、幸せになれる?」
「当たり前だろ。俺の心配はいらねぇから、勇征と幸せになれよ、な!」
「うん、ありがとう。」
「あ、噂をすればだ。」
ふわりと直人に背中を押されて視線をずらすと、スーツ姿のゆせがこちらに向かって歩いて来た。隣にはこれまた綺麗に着飾ったネコ。
「へ?ネコ!?」
吃驚して声を上げるとカシャっと写真を撮られた。ここに一人、プロのカメラマン。
「神谷健太!?いつの間に!?」
シャッターを下ろしてこちらに頭を下げた神谷健太にネコが飛びつく。
「健太あっ!!」
「朝海綺麗だよ。」
「えへへ。ありがとう。」
「いっぱい写真撮ってあげるね!」
なんだぁ、この二人。てっきりロスにいるもんかと思っていたのに。目をパチクリさせる私に「サプライズのつもりらしいぜ、こいつら。」直人の言葉に苦笑い。
結局のところ、哲也先輩の元に一度戻ったものの、やっぱりネコは仕事でロスに行った神谷健太を追いかけてロスへと旅だった。まるで30歳の誕生日に直人に会いに行った私のように。
その朗報を聞いたのはまさかの直人からで。どうやらロスで神谷健太と再会したらしく、地味に仲良くしていたとか。そこでネコとうまくいったことも知ったとか。
哲也先輩を思うとやっぱり今でも胸が痛むけれど、ネコが幸せならそれで十分だって思えたなんて。
「ネコ、」
「雪乃さん。お誕生日おめでとう!」
「…ありがとう。」
「ちゃんと覚えてますよ!てか結婚、するんですか?ゆせくんと。」
ネコの言葉にゆせを見ると当たり前に目が合った。
「あーっと、まぁ、はい。」
答えたのはゆせで。実はこの結婚式が終わったら、二人で婚姻届を出しに行こうって約束していた。