私の本音2


「…伝えようか?直人に。」


それから静かに私を見てそんな言葉。でも私はそんな哲也先輩の優しさも素直に受け取れない。


「自由に生きろって言ったんです、直人さん。いい奴ができたら幸せにして貰え…って。でも逆を言えば直人さんだって同じ、ですよね?あっちで素敵な人と出逢ったら、私のことなんて忘れて幸せに、って…
「なれるわけないよ!!雪乃さん無しで直人さんに幸せなんて一生来ない!!!」


言葉をネコに遮られて勢いよくネコの言い分が飛び出す。


「もっと自信持ってください!直人さんと雪乃さんは誰が見てもお似合いのカップルです!今までも、これからも!!好きあってるのに自分の気持ち言わないなんてそんな悲しいことないです。あたしなら仕事も生活も全部捨てててっちゃんに着いていく。ロスだかなんだか知りませんけど、そんな所で他の女がてっちゃんに色目使ってるなんて思ったらそれだけで吐きそうです!!」


たかが3歳しか変わらないのに、ネコみたいに素直に気持ちを吐き出せない私は、ただの弱虫なんだろうか?自分が可愛い、傷つきたくない、ただの弱虫なのかもしれないね。




「悪かったな、朝海がいつも通り暴走して。」


お酒飲んで眠っちゃったネコは、ソファーの上で丸まって夢の中。きっと哲也先輩との夢でも見ているに違いない。だから私も帰ります…って哲也先輩に駅まで送って貰っている。


「…ネコは私が言えないこと全部代弁してくれてるんですよね。有難いです。自分で言えなくてもそうやって誰かが代わりに言ってくれるだけでも心が軽くなります。」


小さく笑うとまた哲也先輩は溜息をつく。それから私の肩にそっと腕をかける。グっと強く抱き寄せられて…これはちょっとネコに怒られるんじゃないの?って思うんだけど、意味もなくこういう事をする人じゃないって思うわけで。


「哲也先輩?」
「…もしも直人が帰るってことになったら雪乃どうする?」
「帰ってきたら、一番に逢いたい。」
「…だな。一応直人に頼まれたから俺も、雪乃のこと。なんかあったらいつでも相談しなさい、お兄ちゃんに。」
「…哲也先輩がいなかったら私、ここまで頑張れてないです。十分頼ってますよ。」
「俺は、直人のことも雪乃のことも好きだから…それだけは忘れんな?」


きっと、直人の本音は哲也先輩が知っているのかもしれない。私は知らなくていい事も沢山。優しい哲也先輩だからこそ、私と直人の間でこうして一緒に悩んでくれているんだって。

今日まで自分の気持ちを言葉にしなかったことを反省しなきゃ。哲也先輩の優しさにコクっと頷くと、ポンポンって頭を優しく撫でて温かい手が離れていった。