ゲホッと咳と共に吐き出される汚物。
それをシャワーで流してまた同じように指を突っ込んで吐かせる。
それを何度も繰り返して胃の中を洗浄する荒手の治療。
相当苦しいだろうし、やってる健太も辛いって。
「夏喜さん、ねぇねに見せんなや!」
マサの声と同時になっちゃんが私を抱き抱えてお風呂場から寝室へ連れて行く。
そのままテレビを大音量でつけて、嘉くんの音が遮断された。
零れる涙を何度も手で拭うけど止まんなくて。
ポンと一つ頭に手を乗せたなっちゃんは、ちょっとだけ切なく微笑んだ。
「やましょーさんはあれじゃない。もう薬漬けだったから薬に手出ししないように禁断症状で暴れるのを押さえつけてた。幻覚で暴れたり泣いたり、色々。涎も小便も垂れ流してそれでも薬を求める死人の目だった。あの人は大丈夫だよ。でもね、たった一度飲んだだけでもあの変わり様、…さすがに俺も怖ええ。」
大きな身体のなっちゃんの肩が少しだけ震えている。
「なっちゃん、」
「ゆき乃さん気づいたよね?アイツの女とこの前一緒に居た連れの女。ほんの一瞬だったけど、あの女の手に入ってた刺青は蛇だった。俺らのチームに裏切り者がいる。それはたぶん未来。だからネコに近づいたんだって。最終目的はたぶん、ネコじゃない。あれは健太さんへの復讐だ。」
「健太への復讐?」
「未来がマジであっちの人間だったら。ネコはもうやましょーさんと同じで薬漬けになってるのかもしんねぇ。…今朝学校行く途中でネコと会って…なんてゆうか目がちょっと虚ろだった。…とてもじゃないけど今の健太さんには言えなくて俺…」
俯いて唇を噛むなっちゃんに、こんなとこで泣いてらんない!って思う。
守らなきゃ!嘉くんも、健太も、ネコも!!!
すぐにサワを呼び出して迎えに来てもらった。
「健太、嘉くん大丈夫かな?」
コンコンってお風呂場のドアをノックすると、マサが顔をひょっこりだす。
「だいぶ吐かせたけどもうちょい。ねぇねは大丈夫?」
「うん…終わったらうちに嘉くん連れて来て。私準備しておくから。ね?」
乱れたマサの髪を撫でると「分かった。」…ちょっとだけ顔を覗かせると、健太がこっちを見る。
「健太、嘉くんを頼むね?」
「あぁ。すぐ行くから。」
なっちゃんはここに残るって言ってくれて。健太達の力になるって。だから私は外にいるサワの所に走って行った。