「どんどん湧いてくんじゃねぇか。クソ野郎ッ。」
黎弥の目が思いっきり相手を睨みつけている。
「てめぇが俺様の相手ってわけね!受けて立つ!こいっ!」
マトリックスみたいな構えで手をクイクイってする黎弥を見て、未来の後ろから出てきた眉毛の途中が抜けてる垂れ目の男がニヤリと口端を緩めた。
「竜太くん、頼みますね。」
どうやらここのボスはこの竜太って奴らしい。纏うオーラが半端ない。
この場を竜太に託してなのか、未来が奥のドアを開けようとするから私が走ってその手を掴んだ。
「待ちなさいよっ未来っ!」
ジーンズの下を切ってあるからだろう、足首に見えた蛇の刺青に胸が痛い。
「さすがにゆき乃さんに手かけらんないんで、その手、離してください。」
ニッコリ微笑む未来に寒気すらするけど、ここで引けない。
「ネコはどこ?答えて未来!!」
更に強く未来の手を握りしめる私に小さく溜息を零す未来。
「うるせぇな、離せって言ってんだろ。」
ガンって逆に未来が私の両手首を掴んで壁に押し付けられた。
やだ、動けない。
「離してよ、未来。」
「やだね。あんたの好きなあのオトコ、大丈夫だった?さち子にホイホイ着いてきてさ、馬鹿だよね、簡単に薬飲んで。あの薬ね、めっちゃ効きがいいの!」
そう言うと未来はジーンズのポケットから錠剤を取り出して私に見せた。
こいつ、何考えて…
「ゆき乃さんにも教えてあげるよ、この美味さ!」
そう言うと未来はそれを自分の口に含んだ。だから咄嗟に下を向いて未来から逃れようと、
「ぶっ殺すぞ、未来!!!」
サワが未来の首根っこを持って後ろに投げ飛ばした。
「ゆき乃はここにいちゃダメだ。頼むから外で待ってて。」
殴られて頬が赤く晴れているサワが祈るみたいに私を抱きしめる。でももう逃げられない。
「サワ。どうしてもネコと健太を元に戻したい。ネコを失った健太は、健太じゃないの。」
「ゆき乃、でもっ…、」
ぎゅう〜って強くサワに抱きしめられる。
「安心してよ、ねぇねも俺が守るから。」
その声に振り返ると、健太がニカッて白い歯を見せて笑ったんだ。