「深堀未来、俺の女傷付けた罪と、姉貴に手出ししようとした事、きっちり落とし前つけてもらうぞ。」
健太が私の後ろ、未来の胸倉を掴んで先手必勝思いっきり殴り飛ばした。
ガゴンって鈍い音と共に壁に激突した未来は、俯いていた顔をあげて、口元を手の甲で拭くとニヤリと笑みを浮かべる。
「神谷、笑ってられんのも今のうちだぞ、」
壁を蹴って飛び上がった未来はそのまま空中で回転して健太を蹴り落とした。
ガクンと膝を着いて倒れる健太は、完全に喧嘩スイッチが入ってしまって、未来に馬乗りするとその拳で顔をガンガン殴りつける。
そこからはもう見てるのも辛くて。
陸も陣も何してんのよ!!スマホで陣に電話をかけると【ゆき乃さん!】ワンコールですぐに繋がる。
「陣、早く来て!みんなが大変っ!」
【それが、やましょーの発作がまた起こって、やっと縛り付けた所やって。今すぐ陸と向かいます!】
「お願い、30秒できて!!!」
【分かりました!】
もちろんそんな早く来れるなんて思ってないけど、私の中で陣と陸が来るまで30秒だと思おうって。
この隙に私はネコを探さなきゃって、未来が開けようとしたドアを開けてその中に入った。
シーンとした真っ白の部屋。外の音が全部遮断されて何も聞こえない。
その奥にまた一つドアがあって、そこを開けると椅子に手足を縛られたネコがいた。
「ネコっ!!!」
私の声に顔をあげたネコは、うつろな目で。
「…誰?」
なによそれ。
私を見て怯えている。まるでそこに縛り付けたのが私かのように。
「ネコ、朝海。どうしたの?私だよ、ゆき乃。健太の姉。覚えてないなんて言わないでよ?」
「分かんないっ。分かんないのっ、あたしっ。」
大きな目からポロリと零す涙。
「いやっ、来ないでっ!」
完全に記憶も正気をも失っていて、近づく私から顔を逸らして暴れる。
立ち止まる私の前、ネコの後ろにあったドアからこの騒動の発端を作ったであろう、女が出てきたんだ。