【side 朝海】
ドンって音に窓の外を見るとそこには空に咲く大輪の花。
「やましょー見て、花火!今日だったんだ、花火大会…。…行きたかったな、」
健太と一緒に。
その言葉は飲み込んだ。
アパートの一室、ここで絶賛薬抜き中のあたしとやましょー。
やましょーのが薬の量が多かったせいか、なかなか抜け出せないでいる。
健太が女遊びしてるって思ってしまったあたしは、近寄ってきた未来くんに心を許した。自分でも馬鹿だなって思うけど、あの時のあたしはただ健太に怒っていて、「ネコちゃんごめんね。」そう言って健太が迎えに来てくれるのを待っていたんだ。
未来くんはそんなあたしの傷に漬け込んで、あたしを愛しているフリをしていた事に気づけなかった。
もしかしたら…そう思ったこともあるけど、それでもその時のあたしは100%未来くんを信じていたんだ。
何度目かのセックスで、未来くんが薬を使った事に気づいたけれど、その影響で未来くんが健太に見えて、だからあたしはそのまま健太を思って抱かれていたなんて、笑っちゃう。
薬さえ飲めば、いつだってあたしを愛してくれてるのは健太だって思えたんだ。
「どーせ、健太と見たい!とか思ってんだろ?」
隣でベッドに縛り付けられているやましょーも、アイリって女にあたしの面影を見て抱いてたんだと。
「やましょーと見れて嬉しいもん!」
「んな事言うな、嘘でも。俺の前で意地張る朝海なんて、朝海じゃねぇだろ。」
やましょーの事、友達として見ていたから、その気持ちに今も答えられないけど。
「意地なんて張ってないよ。本当にやましょーと見れて嬉しいもん。」
「馬鹿者。この鎖がなかったら押し倒してたわ、今の。…俺別に優しさとか求めてねぇからさ、朝海に。…変わんなよ、ずっと。一生健太だけ追いかけてろよ、じゃなきゃアイツ、目も覚まさないって。」
あの日から、一度も目覚めない健太。
弱気になりそうなあたしをいつだってやましょーが元気づけてくれる。
ねぇ、健太。もう限界…逢いたくて逢いたくて、苦しいの。