弐拾 美男の悩み


別に言うなって言われてる訳じゃない。ただ、女の嫉妬云々はたぶんきっと八割…いや、九割女にいくって三つ子の妹たちも言ってた。

歴代の彼女を思い浮かべてもやはりなんとなく俺と付き合うと色々面倒なことに巻き込まれていた。

ゆき乃をそんな目に合わせる訳にはいかない。

昔からイケメンだとか、かっこいいだとか言われてきたし、女も俺と他の奴に対する態度が違うこともちゃんと分かっている。

それを自慢することはまずないけれど、少々面倒だと思う事はしばしばで。

だから俺からは何も真実は言わずにいようって心に決めていた。言いたかったらゆき乃が言っていいって。したら俺はそれを守るだけだから。

だからゆき乃が言ったのは多少なりとも嬉しかったんだ。


「…樹?」


内心ガッツポーズでほくそ笑んでいた俺をまた覗き込む大樹さん。ああちょっとフリーズしてたわ。


「えっと、はい。まぁ順調です!」

「はぁ!!!やっぱりか!!!やっばりお前ら付き合ってんのかよっ!!!!」


え?なに?

ギロりと大樹さんを見るとなぜか頭を抱えて泣きっ面。


「樹さ、マジで付き合ってんの?」


泣きっ面から一変、今度は超強引に肩に手を置かれて今にも触れ合いそうなくらいに顔を寄せてそんな質問をされた。

ちょっとよく分かんねぇんだが。


「ゆき乃が言ったんですよね?」


しかしそう問いかけると、煙草を吸う目線を遠くに移してコクリと頷く。

なんだぁ?自信なさげだな。


「言ってないけどね、姐さん!」

「は?どういう?」

「悪い、カマかけた。」


ニヤリと笑う大樹さんの両目がめちゃくちゃ離れて見えた。
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