弐拾伍 秘め事


お粥を完食して薬を飲んだなっちゃんはそのまままたベッドに倒れ込む。

さすがに体力消耗したんだろうって。

頭痛がするのかおデコの上で腕を交差してちょっと大きく呼吸をしている。

また、薄らと汗をかいている。さっき着替えさせたばかりなのに。


「なっちゃん、汗出てるから着替えよ?」


さっきの場所からもう一枚ずつ着替えを取り出して、濡れタオルを持ってくるとなっちゃんの服に手をかけた。


「えっ?」


真ん丸の目で私を見上げるなっちゃんは素っ頓狂な声を上げた。

でもそんなの気にせずTシャツを捲り上げると真っ赤な顔で私の手を握った。


「なに?」

「なに?って、着替え。汗かいてるでしょ?」

「そうだけど、いいよ、これぐらい。」

「ダメよ、汗かく度に着替えないと治りが遅くなるよ?」

「じゃあ、じゃあ、自分でやる!さすがに恥ずい、」


急に照れ出すなっちゃんには申し訳ないけど、さっきなっちゃんが高熱でうーうー唸りながら寝ている間に一度全とっかえしている。

一度も二度も変わらない。

とはいえ、本人の許可もなく下着までもを変えたのはまずかったよね。まぁしっかり見たし。

元カレ以外のなんて初めて見たし。

いや見てる、あと一人。素面で樹と致した時に暗闇ながらしっかり見た。…って、病人相手に何考えてんだか、私ってば。


「でもなっちゃん。さっき着替えさせたのよ私。だから今更照れなくていい、」

「いや照れるから!!」


断固拒否を決め込むなっちゃんだけど、この私との会話すら体力消耗で、やっぱり起きてられないのかベッドにクテっと身体を倒す。

さっきよりもゼェゼェと大きく呼吸をしているから早く着替えさせてあげたいのに。


「分かった、じゃあ上だけ私がやるね。下は自分でやって。ね?それならいいよね?」

「マジで見たの?俺の、」


気になっていたんだろうそこを聞かれて苦笑い。


「見てないよ。」


世の中には言わなくていい事も沢山ある。

大抵の人間は、言わなきゃ伝わらない言葉を欲しがったり、自分の脳内では分かっていても相手に伝えられなかったりすることも多い。

目の前で動揺しているなっちゃんはほんの少し可愛んだ。
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