着替えを終えたなっちゃんはかなりぐったりしていて、すぐに眠りにつく。
ごめんね、無理させて。おデコの濡れタオルを取り替えつつなっちゃんの髪を撫でると、気のせいか呼吸が少し落ち着いた様だった。
とりあえずなっちゃんが起きた時の為に…と、鍋にお粥とうどんを作っておいた。
それにしても、この冷蔵庫の中酷いなぁ…。なっちゃんは普段何を食べているのか疑問に思う。
朝は食べなさそうだし、会社に来ちゃえば昼は勿論外。夜は…――あ、そうか。だいたいネコか私と食べて帰ってるか。
でも休日は?洗濯も掃除も行き届いてる感じはするけど、料理はしなさそうだし、栄養偏ってるよなぁ。
私は鞄から取り出した手帳の後ろに着いてるメモ帳を一枚切り外すと、備え付けのペンでなっちゃんにメッセージを書いた。
別にLINEに送ってもいいのだけれどちゃんと見て欲しいと思うからあえて紙のメッセージにした。
ぐっすり眠っているなっちゃんを見て私は薄手のトレンチコートを羽織ると鍵をかけてなっちゃんの家を出た。
◆
「でね、でね、かみけんくんってほんとかっこいいの。」
「うん、分かった。分かったからかみけんのことはもういいや。」
私の言葉にすこぶる顔をしかめるネコ。
なっちゃんに作り置きをしようと思ってネコを呼び出した。全部タッパーに詰めてまたなっちゃんのとこに持っていくからさっさと作りたいんだけれど、さっきからずっとネコはかみけんへの話に尽きない。
今朝ほどネコから会社休むってズル休みのLINEが届き、どーせならって料理上手なネコに手ほどきして貰おうって計画だったんだけれど、全然手が進まない。
どうやら恋人黎弥には内緒でかみけんと一夜を共にしたらしい。
真っ直ぐにネコを想っている黎弥が少々不憫に思うものの、ネコは心底幸せそうな顔でこと細く話してくれる。
どうにも私にはその魅力が一ミリも伝わっていないんだけどね。
「ムゥ。もっと聞いてよぉ!死ぬほどかっこいいんだよ、ほんとに!」
「…どこが?どこが好きなの?そんなに。」
さも私の質問が有り得ないって顔で目を大きく見開くネコに苦笑いを返す。
確かにネコの中では一番かもしれないけど、私の一番は樹であって、正直な所、あんなに甘えたな樹は誰にも見せたくないと思える。
「全部!!全部大好き!!」
全部、ねぇ。
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