ある意味全部!と言えるネコはすごい。ただその愛情を送る相手が間違っているんだけれど。
「ネコさ、黎弥どーすんの?」
だから思った通りの言葉を口にしたら、あれだけはしゃいでいたネコがまるで借りてきた猫の様におとなしくなったんだ。
膝を抱えてそこに顔を埋めるネコに苦笑い。
ネコのことは大好きだし、何かあればいつでも力になってあげたいと常に思ってはいる。
いるんだけど…「このままだと黎弥が可哀想だよ?」そっと肩に手を置くとネコが顔を上げた。
「全然別れてくれないんだもん、黎弥。あたしがかみけんくんが好き!って言っても。いい噂聞かないからそんな奴に渡さない!って。俺が面倒見てやるからって。ねぇゆき乃先輩!どうしてもかみけんくんがいいの、黎弥には悪いけど。」
他に好きな人がいるって言われてもネコを離さない黎弥もある意味すごいけれど、それぐらいネコを離したくないって黎弥の気持ちが今は少し切なく感じる。
それほどネコを愛しているんだって。その気持ちが前はどれだけ繋がっていたのだろうか?
黎弥と付き合いたての頃も、今のかみけん程きゃんきゃん言ったりしてなかったよなぁ。
「それでも、かみかんと付き合いたいなら別れないと、ネコ。」
「…ゆき乃先輩黎弥と話して!説得してぇ。」
げ、とんだ飛び火じゃんそれ。
ジロッと睨む私と視線を合わせないように横を向いてるネコ。
「お願い!あたしじゃ聞く耳持ってくれないんだもん!…そうだ、藤原くん!ゆき乃先輩の彼氏!黎弥と同郷だったし結構飲んだりしてるって、ね、だからお願い!!!」
顔の前で両手を合わせて懇願されて、仕方なく私は頷く。
「分かった、話すよ。でもとりあえずは先になっちゃん本調子に戻さないと。これタッパーに詰めるね!」
仕上がった食材をタッパーに詰めてまた別の料理に取りかかる。
黙って野菜を切る私を見て、ネコが一言呟いたんだ。
「なんかゆき乃先輩、なっちゃんのこと好きみたい。」
…樹みたいなこと言わないでよ!
何も答えないでそのまま料理に専念していたけど、ネコはそんな私にすら違和感を覚えていたなんて、知らない。
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