女は愛された方が幸せになれる…なんてよく言うものだけれど、この2人に限ってはどうなんだろう?
「樹はさ、黎弥もかみけんもどっちも知ってるじゃない?ぶっちゃけどう思う?」
目の前ではスーって寝息を立てて寝に入った黎弥。
あんなに私に話ある!みたいに言ったものの、私が到着する少し前にこの状態になったらしい。
レモンサワーを一口飲むとジョッキを置いて真剣な顔で言ったんだ。
「そんなの、黎弥くんのがいいに決まってる。…健太さんは下半身緩いから。この会社に来てまだそんなにたってないけど、健太さんをクラブで待ってる女はいっぱいいるよ、今この瞬間も。」
「一目瞭然なんだねぇ、」
そう言いながら樹の肩に頭をもたげて指を絡ませると視線が飛んでくる。
樹が言うなら間違いないと思う。
どれだけネコが健太を好きであろうと、お勧めも協力もできそうもない。
これが現実だ。
どんなに頑張っても手に入らないものなんて腐るほどある。
どこかで諦めたり、悔やんだりしながら私たちは今を生きている。
「後輩の俺が言うのもなんだけど、苦労すると思う、健太さんは。あの人自分でダメな事してるって自覚ないから。…でもそれって、誠実じゃないじゃん。胸張ってネコさんだけを好きって言えないよね?例えその場限りの行為があったとしても。」
思ったより真剣にネコ達の事を考えてあげている樹がかっこいい。
「俺は、断然黎弥くんを応援してる。どうにか黎弥くんをちゃんと好きになってくれりゃいいのに。そもそも表面上は付き合ってるってのにさ、悲しいよね片想いって。片想いの楽しさもあるけど、俺は両想いのがずっといい。」
キュっと手を握りしめる樹にトクンと心臓が高鳴る。
キュンとしたついでに樹にもたれたまま顔を後ろに下げるとこっちを見ていた樹と簡単に目が合う。
一瞬黎弥に視線を移した樹が、彼が寝ていると判断してか、私に被さるように唇を重ねた。
「俺は胸張って言うよ、ゆき乃が好きって。」
んちゅって小さなキスが頬に落とされてまた胸がキュンと小さく音を立てる。
目の前で熱く燃える樹の瞳と視線が絡む。
「私も。樹が好き。だいすき…ッ」
さっきよりもずっと濃厚な口付けに目眩がしそう―――――
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