なかなか起きない黎弥を無理やり起こして寝惚け眼のままタクシーに乗せた。
運転手に黎弥の家の住所を告げた樹は、そのまま財布から一万円を出すと「これでお願いします。お釣りはいりません。着いたら申し訳ありませんが起こしてやってください。お手数おかけします。」…どんだけ面倒見のいい後輩なんだろうか。
見かけによらずそーいう優しくて頼れるとこを見るとますます樹が好きになる。
「行こ。」
すぐ様私の手を取って電車に乗る。
行先は聞いてないけど、今夜はこのまま樹に着いていきたい気分だった。
だから何も言わず樹の握った手にキュッと力を込めると、振り返った樹が小さく言った。
「帰したくない、ゆき乃のこと。このままうちに来て?」
あえてなのか、ちゃんと言葉にする樹にまた胸がギュッと掴まれた。
コクっと頷くとポスッて繋がっていない方の樹の手が私の髪を撫でる。
このままここで抱きついてしまいたいけど、さすがにいい大人が電車でイチャコラする趣味はない。
ただ。美形なだけに、樹を隠れ見している女はそこそこいて、それが気にくわない。
こんな所で独占欲発揮したいわけじゃないけれど、樹のネクタイをちょっと緩めて「かっこいい。」小さく呟くと口端を緩めて小さく笑うんだ。
「照れるから。」
ポスッてほんの一瞬私を抱きしめる樹に、テンション上がったのは言うまでもない。
◆
鍵を開けて部屋に入るとすぐに樹が私を壁にトンと押し付ける。
靴も脱がずにその場で唇を重ねる。
ベッドまで、ほんの少しの距離すらもどかしい。
何度となく繰り返されるキスと、樹の私を抱きかく指が心拍数をあげていく。
ふと、背中でパチンと玄関の電気をつけると、私も樹も我に返ったように顔を離した。
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