翌日出社するも、人事部になっちゃんの姿はなかった。
朝一でCafeで紅茶を飲んでいたら若干眠そうなネコと顔を合わせる。
「ゆき乃先輩ぃ、なっちゃん今日休むって。ネコも一緒に休む!って言ったら無理やり押し出されたの、酷いよね。ぴえん。」
泣き真似をするネコに苦笑い。
「そりゃそーよ。ネコ昨日休んでるもの。今日は私が様子見に行くからネコは仕事してなさい。」
「やだ。かみけんくんに逢いたい。かみけんくんと一緒にいたいよ。」
相変わらずなネコにまた苦笑い。
あんなにネコを想って酒に溺れる黎弥が不憫でならない。
どうにか黎弥とネコを取り持ってあげたいなぁー。
樹にも協力して貰おうかなぁー…。
頬杖を外して顔の周りにまとわりついていた髪を手でそっと払い除けた。
だけど次の瞬間ネコがその髪を更にめくるように後ろに退かす。
目線は私の首元…
「これ藤原くん?ねぇこれ!」
ちょっと声を上げるネコにもう一度苦笑い。
昨日つけられたの忘れてた。
「…まぁ、そう。」
「げー。ズルいよ先輩ばっかりいい思いして!あたしだってかみけんくんと、」
意気込んで言ったもののネコは突然言葉を止めてしまった。
どうしたの?顔を覗き込むと、Cafeの入口をジッと見ていて。
「あ、マジか。」
かみけんと元カノらしき女が腕を組んで歩いていた。
やっぱり樹の言ったのは間違ってなかったわけで。
サラサラなネコのショートヘアーをゆっくりと撫でる。
涙ぐむネコの耳に髪をかけて小さく言った。
「黎弥はあんなことしないよ。ネコ、ちゃんと幸せになる道を歩こうよ。神谷健太はお勧めできない。協力も、しないわよ。」
ぐっと唇を噛み締めるネコはかみけん達が反対側に行くと気づかれないようにCafeから出て行った。
あんなに恋してるのに、気持ちがすれ違ってしまうネコ達。
樹と気持ちが繋がりあっている自分はある意味奇跡なのかもしれない…
そんな風に思えたんだ。
恋愛は難しい、なんて思いながらも私は手中のスマホになっちゃんからのメッセージを目にする。
【ゆき乃のお粥が食べたい】
スタンプも絵文字も一切無しのそのメッセージに思わず微笑む。
ネコと一生懸命作った料理があるはずなのに、私のだなんて。
しかも「さん」抜けてるし。
仕方ないなぁーなんて思いながらも、早々に仕事を始めるべく、自分の部署に向かったんだ。
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