それから一週間後。
あの日のことはなっちゃんが何も口にしないから私もしない。
魔が差したから、無かったことにしようって、そういう事なんだって勝手に思っている。
だから私たちの間に流れている風は前と何一つ変わっていない、そう友情というもの。
「なっちゃんご飯粒ついてるよ。」
いつものCafeでお昼休みにドンブリ飯をかきこむなっちゃんの頬についたご飯粒を指でとってそれをペロリと食べた。
それを見ていたネコが私となっちゃんを二度見する。
「え、付き合ってんの?」
「そんなわけねぇだろ。ゆき乃さんは樹がいるし。」
「そうだよーネコ。何言ってんの、もう!こんなのよくある事でしょ、ね?」
「そうそう。」
すこぶる疑いの目で見るネコは、一週間前と変わらずかみけんを想っている。
なにも変わっていない。
「てかゆき乃先輩、藤原くんにご飯一緒に食べよ!とか言われないの? 」
ネコが相変わらず美味しそうなお弁当の卵焼きをパクついてこちらを見る。
当たり前になっちゃんの視線も私にとんでいて…
実の所、そんな誘いはしょっちゅうだった。
でも有難いことに営業部のあちらさんはお昼時間がたいてい時間通りには取れない。
外回りに行っちゃえば外食だろうし。
だから今のところは回避していたんだけれど。
「別に俺らに気にせず食えばいんじゃない?」
なんだろうか。
なんとなく、なっちゃんに壁を感じる。
気にしていないと言ったら嘘になるあのキス。
私だってキスに応えてしまった以上は責任逃れはできまい。
でも、そんな事を気にしているなんて思われたくなくて普通にしているし、なっちゃんも目が合っても手が触れても態度は一切変わらないから…
「じゃあ明日から樹と食べようかな。」
「了解。」
ネコがなんか言う前になっちゃんの冷めた声でそう言われて、それ以上何も言えなくなった。
3人一緒にいるのに全然会話も弾まなくて、こんなお昼休みは初めてだった。
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