肆拾壱 ムードメーカー


【side ネコ】


「だ、誰も掴まんない!なんでぇ!!」


LINEを見て小さく溜息を着く。

ゆき乃先輩もなっちゃんも絶対おかしい。

なんか隠してる…っていうかなんかあったよ、絶対アイツら!

あたしの目を誤魔化そうったって、そうはいくか!!

とっちめて吐かせてやるつもりだったのに、見事に2人ともに逃げられた。

頼みのかみけんくんも捕まらない…てゆうか既読にならない。

できればご飯は楽しく食べたい。

独りで食べるご飯は美味しくない。

エレベーターのドアが開くと、そこには黎弥が乗っていた。


「あれ?1人?珍しくない?」

「うん。」

「もう帰るの?」

「…分かんない。」

「なんだよそれ。すげー美味い焼き鳥屋あるんだけどさ、一緒に行かない?奢るよ!」


パチンってわざとらしくウインクをする黎弥に苦笑い。

夕方から降り出した土砂降りのせいでせっかくのスカートが台無し。

パステルカラーのパンプスもこんなんじゃ泥だらけになっちゃう。

早く帰りたい気持ちはあるものの、この雨の中を歩く勇気もなく。


「割り勘なら行く。」


あたしの言葉に黎弥はニカッて白い歯を見せて「よし、決まり!」大きな黒い傘にあたしを入れてくれた。


◆

「うんまっ!何これっ!」

「だろ!」


食え食えってあたしのお皿に焼き鳥を置いていく黎弥。


「常連なの?」

「いーや、今日で2回目!」


とても2回目には見えないのは、お店の大将と饒舌に話しているから。

まるで昔からの知り合いとか、友達みたいにペラペラ喋る黎弥は社内でもムードメーカーだった。

明るくて優しくてでも真面目で、八割は馬鹿やってるけど、ちゃんとやる時はやる男だって知っている。

だから黎弥を好きになったんだもの。


それなのに、あの時の気持ちはどこにいっちゃったんだろう?

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