【side ネコ】
「だ、誰も掴まんない!なんでぇ!!」
LINEを見て小さく溜息を着く。
ゆき乃先輩もなっちゃんも絶対おかしい。
なんか隠してる…っていうかなんかあったよ、絶対アイツら!
あたしの目を誤魔化そうったって、そうはいくか!!
とっちめて吐かせてやるつもりだったのに、見事に2人ともに逃げられた。
頼みのかみけんくんも捕まらない…てゆうか既読にならない。
できればご飯は楽しく食べたい。
独りで食べるご飯は美味しくない。
エレベーターのドアが開くと、そこには黎弥が乗っていた。
「あれ?1人?珍しくない?」
「うん。」
「もう帰るの?」
「…分かんない。」
「なんだよそれ。すげー美味い焼き鳥屋あるんだけどさ、一緒に行かない?奢るよ!」
パチンってわざとらしくウインクをする黎弥に苦笑い。
夕方から降り出した土砂降りのせいでせっかくのスカートが台無し。
パステルカラーのパンプスもこんなんじゃ泥だらけになっちゃう。
早く帰りたい気持ちはあるものの、この雨の中を歩く勇気もなく。
「割り勘なら行く。」
あたしの言葉に黎弥はニカッて白い歯を見せて「よし、決まり!」大きな黒い傘にあたしを入れてくれた。
◆
「うんまっ!何これっ!」
「だろ!」
食え食えってあたしのお皿に焼き鳥を置いていく黎弥。
「常連なの?」
「いーや、今日で2回目!」
とても2回目には見えないのは、お店の大将と饒舌に話しているから。
まるで昔からの知り合いとか、友達みたいにペラペラ喋る黎弥は社内でもムードメーカーだった。
明るくて優しくてでも真面目で、八割は馬鹿やってるけど、ちゃんとやる時はやる男だって知っている。
だから黎弥を好きになったんだもの。
それなのに、あの時の気持ちはどこにいっちゃったんだろう?
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