伍拾捌 チーム名古屋


デスクに戻ると松本部長に部長室に来るように言われる。

…なんだろ?なんかした?

無駄に緊張しながら部長室のドアをコンコンと叩く。

身だしなみを整えて「失礼致します。」ドアを開けて中に入った。


「ちょっと俺と一緒に着いてきてほしいの。」

「はい。」


そのまま部長同伴で別室へ通された。

続いて続々と別部署の人が部長同伴で入ってくる。

嫌な予感がした。

またドアが開いて人事部の眞木部長と、後ろになっちゃんが入ってきた。

なっちゃんも私を見て「ゆき乃さん。」ちょっと素っ頓狂な声をあげた。

だからちょっと緊張が解れたなんて。



みんなが揃うと松本部長が前に出て言ったんだ。



「名古屋支店をこのチームを中心に作っていって欲しい。」



…樹に言われてなっちゃんはもしかしたら…そう思っていたものの、まさかそのチームに自分も含まれているとは思わなかった。



「堀はまだ若いし経験も少ないからゆき乃、フォローしてやってほしい。お前たちはプライベートでも仲が良いみたいだし!」



ジェルでツヤツヤに固めてある松本部長の頭をぼんやり眺めていたらそんな事を言われてドキッとする。

確かにそうだけど、今に限っては若干の気まずさがあるよー…とは言えず「承知致しました。」なんて頭を下げるだけ。



「取り急ぎ、名古屋でどんな店が主流なのか偵察に行ってきて欲しい、2人には。」



まさかのなっちゃんと2人きりで仕事とはいえ一週間名古屋に滞在する事になった。

樹になんて言おう…

仕事だし理解してくれるとは思うけど嫌がるんだろうな…そう思うとちょっとだけ憂鬱だった。


「俺は、ラッキーだって思ってる。」


呑気にそういうなっちゃんを今ほど憎いと思った事はないかもしれない。
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