よしここは姉さんが一肌脱いでやろうじゃん!って、腕まくりをして、いざかみけんの隣に座ったんだ。
そんな私を見てまたもネコが顔を顰める。そんな顔してもネコは黎弥と付き合ってるんだから。
密かにかみけんをかっこいい!と言いつつ彼女のいる男にモーションかける程の女じゃない。だからたまたま告白してきた黎弥を好きになる!って付き合い始めたものの、一向に黎弥を好きになっている気配すらなくて。
なんならなっちゃんとの方が仲良いし、付き合ってると思われても仕方の無い距離感を保っている。
「あれ?ここに大事そうについていたペアリングは?どーしたの?」
かみけんの肩に体重を乗せるようにして寄りかかりながらそのゴツめの指を手に取る私に「別れました。実は。」なんて言葉。
すぐ様ネコに教えてあげようとも思ったけど、隣にはピッタリと黎弥がいて何かを喋っている。でも完全にこっちを気にしているようなネコがいて。まぁそんな事に気づいているのは私となっちゃんぐらいだと思うけど。
「どうして別れたの?」
「んー。喧嘩して、別れるって泣きながら出て行かれました。」
「追いかけなかったの?喧嘩なんてよくあるでしょう?」
「…やっと、解放された、かな。正しくは。」
「えっ!?」
思わず振り返ると、私のおデコとかみけんの顎がゴツンとぶつかる。吐息がかかる距離で目が合ってほんの一瞬ドキッとしたなんて。
ほんのり悪戯心で、かみけんの手に指を絡めるとゴクリと生唾を飲み込む音が聞こえた。
「ゆき乃、さん?」
「じゃあ今、フリー?」
「え?うん。」
「ふぅん。年上、嫌い?」
「いや、好き。」
「ふふ。」
かみけんの上に座ってくるりと向きを変えた瞬間、「健太さん、遅れました。」ふわりと香る甘い匂いと、吃驚するくらいの美顔が私たちを離したんだ。
「樹!」
「たく。何してんすか、あなたは。彼女と別れたからって。」
堀夏喜ってイケメンを見慣れている私でも結構な度肝を抜かれたぐらい、美を纏っていた。
「いつき?」
「あぁ。今年入社の後輩です。藤原樹。ゆき乃さんイケメン好きでしょ?」
かみけんを退かして樹の顔をマジマジと見つめる。…女慣れしてそうに見えるけど、意外とピュア?樹の腕に触れた私の手を見つめてほんのり頬を紅く染めた。
「好き。一緒に飲も、樹!」
「…はい。」
照れたように笑ったそれに、キュンとしたのは言うまでもなかった。
.