チェックインを終えた私たちはそのままルームキーを貰って部屋へと移動する。
エレベーターの中で一度もなっちゃんを見なかった。
別になっちゃんに元カノがいるのは当然で、ここはなっちゃんの地元名古屋なのだから会うこともある。
けど、若かったなぁー。
歳下っぽかったなぁ、元カノ。
ギャルだけど美人だったし、スタイルもいいし、肌艶もよくて、なんてゆうか、自分とは違う人種に見えた。
手を繋ごうとしない私の手首を掴んだなっちゃんに連れられてエレベーターを降りる。
そういや何階だっけ?
妙に豪華なドアだなぁ、なんて思った次の瞬間、なっちゃんがカードキーでドアを開けてそのまま一緒に中に入る。
え、シングルじゃないの!?
そういう前に口がポカンと開く。
「なん、で?」
「気に入った?」
振り返ったなっちゃんはちょっと照れくさそうな顔で。
窓際に私を連れていくとふわりと後ろから抱きしめられた。
「誕生日おめでとう、ゆき乃。」
最上階のスイートルームでなっちゃんにそう言われた。
勿論忘れていた訳じゃない。
だけど、樹にはなんとなく言えなくて。
そんな話をする前にこの出張が決まったっていうのもあるけど。
タイミングが悪かったんだと。
「職権乱用?…なっちゃんも一緒なの?」
だってここには大きなベッドが2つちゃんと置いてある。
とてもじゃないけどこのスイートルームを1人で堪能するには寂しすぎる。
なっちゃんは私の頭に顎を乗せると「当然!」ドヤ声でそう答えた。
そこそこいいホテルのスイートルームを見てこいって事も言われたらしく、なっちゃんは迷うことなくこのスイートルームを取ったとか。
27歳になって初めての嬉し涙だった。
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