振り返った先、久々に見る樹が真っ直ぐ私を見つめている。
「久しぶり。元気だった?」
問いかけられて「うん。」答えると屈託なく笑ってくれた。
もうあの時のような責める表情はない様に見える。
「よかった、元気で。相変わらず綺麗だな、なんか。」
ちょっとだけ照れたように笑う樹に私も微笑む。
「樹も、元気だった?」
「うん、まあまあ。福岡出張多くて結構寝不足だけど。」
「そっか。」
「…夏喜は?来てないの?」
顔を動かして辺りを見回すもまだなっちゃんの姿はない。
もしかしたら気を使って来ないかもしれない。
お祝いだったら個人的にもできるだろうし。
むしろ今日ここに樹が来るのを分かっていたらなっちゃんはたぶん来ないのかも。
「どうかな、分からない。」
会えないと思うと、会いたさは積もってしまうもので、なっちゃんに会いたい気持ちが私の中で日に日に大きくなっていく。
樹との傷は時間が解決してくれるのかもしれない。
けれど、なっちゃんに会えない寂しさは何をしても拭いきれなくて。
「もう大丈夫だからさ、夏喜んとこ行けよ、ゆき乃。」
思いもよらぬ樹の言葉に堪えていた涙が堰を切ったように零れ落ちた。
それを見たネコが「藤原樹、何してんのよ!」私の前に立ちはだかる。
「しぇんぱい、どうしたの?藤原に嫌なこと言われた?」
もはや樹を呼び捨てするネコが可笑しいって思うけど涙は止まらなくて。
「…なっちゃんに逢いたい…。なっちゃんに逢いたいよぉ、ネコ…。」
こんなになるまで我慢していた自分を褒めてあげたい。
ずっと待ちに待っていた樹のお許しが出たことで、なっちゃんへの想いが崩壊して溢れ出してしまったんだ。
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