心臓を手で押さえてレッスン室のドアを開ける。
鏡越しにやっぱりまだ残っていた未来と目が合った。
「ユヅキさん!?どうしたんですか?」
「うん。未来の練習見ててもいい?」
キョトンとした顔をした未来は、次の瞬間ニカッて笑って「勿論!」嬉しそうに言ったんだ。
一番後ろ、さっき居た場所と同じところでしゃがんでじっと未来を見る。
ちょっと鼻にかかった抜けるような歌声に目を閉じるとだんだん声が近くなってくるような感覚で。
パチッと目を開けると目の前に未来の顔。
えっ!?
後ろに行こうも壁で動くことなんてできない。
「未来、」
「さっきなんで泣いてたんですか?」
ド至近距離で言う未来の吐息が頬を掠めている。
残ってるはずのない涙の跡を指で拭う未来にドキンと胸が脈打つ。
「分かんない。でもココに届いた。未来の想いが私のココに……」
胸をトンと叩くと未来の手がそこに重なる。
樹なんて比にならないくらいのトキメキ。
ずっと年下の未来が、こんなにも妖艶でたまらなく欲しい…。
「届いたんだ、俺の想い…ユヅキさんに。」
「え?」
「見てた。ユヅキさんのこと、ずっと。だからあなたが誰とどうなってるのか、全部知ってる。」
待って、どーいうこと?
「その中に入りたいとは思ってない。」
「え、未来?」
「別れてよ、2人と。俺だけで満足させてやるから。」
ゴクリと生唾を飲み込む私を見てクスリと笑うんだ。