恋の矢、刺さりました3

「すいませーん!そろそろお開きにします。オトコ、1人5000円徴収します!あ、ゆき乃さんユヅキさんは今日はいりませんので!」


年下なっちゃんは、この面子を仕切るのも得意で、見かけによらずリーダー格なのがちょっとギャップだったりする。


「なっちゃぁーん!お酒めっちゃ美味しかったぁ、ありがとぉ!」


完全に酔っ払ったゆき乃さんがなっちゃんの腕に絡まって笑っている。よかった、ちゃんと笑ってる。でもきっとその酔いが醒めたら泣いちゃうんだろうなーって。ゆき乃さんの性格だから、人前で絶対に弱さを見せない人だから。


「心配だなぁ、ゆき乃さん。なっちゃんゆき乃さん送れる?」


反対側からなっちゃんを見ると、腕に絡まってるゆき乃さんがひょっこり顔を出した。お酒で真っ赤な顔してるゆき乃さんは、色気が3割増で。ジーッと見つめられてドキドキする。


「ゆき乃さん、」
「気に入った?澤なつ!」
「えっ!?」
「ずーっとツーショットだったじゃない?ユヅキが男とツーショットなんて珍しくって!気に入ったんでしょ、澤なつ!あーいう紳士的なの好きだもんね、ユヅキ!」


いやゆき乃さん、声でかいし!澤本くん聞こえてるし!ちょっと嬉しそうに笑ってるし!


「私はいいの!今日はゆき乃さんの会だもん!」
「ふぅん。じゃあ澤なつに送って貰おうかなぁ、私!」
「そ、それはよくない。」


瞬時に嫌だって思ってる自分がいて。あれ、やだな。こんな気持ち。ゆき乃さん相手にこんなモヤモヤ絶対に嫌。


「イシシシ〜。ユヅキにダメって言われちゃったから澤なつごめんね?」


まさかのゆき乃さんが澤本くんの顎を指でクイってしてニッコリ。それダメな奴!ゆき乃さんにそんなことされて落ちない男なんて絶対にいな…――――「じゃあユヅキさん送るよ、俺。方向一緒だし!」…いはずなんだけど…。


「はい、ユヅキのことよろしくお願いしまっす!」


その場で敬礼ポーズを取ったゆき乃さんがフラリとグラつくと、八木くんが軽々ゆき乃さんを抱きかかえる。若干遅れた感の瀬口くんがちょっと可愛い。


「あの、ゆき乃さん大丈夫?」
「ん〜?」
「朝、一人で…。」


私の言葉にちょっとだけ目元を潤ませるゆき乃さん。


「あ、僕が送ります。」


意外と積極的なのかな?って、八木くん。ゆき乃さんもちょっと照れた顔で嬉しそうに笑って私を見た。


「勇征が慰めてくれるって!ね?」
「…うん。」


色白の顔が真っ赤になっている八木くん。絶対にゆき乃さんに惚れたと思われる。


「なっちゃん、八木くんって真面目?遊んだりしない?大丈夫?」


思わずなっちゃんの腕を掴んでそう聞くと「さぁ知らないけど?」あっさり突き放されて。代わりに翔太くんが「大丈夫だよ、勇征モテルけど今まで靡かなかったし。俺が保証する!」…翔太くんの言葉にホッと胸を撫で下ろした。


「まぁ黎弥くんよりかは、安心だよね!」
「そうそう。あの人流されやすいから!」


聞えないように笑う同郷2人に同じ名古屋出身の私も一緒に笑った。