変わらない人


私の手を取って一緒にITSUKIの部屋の前まで来た黎弥。


「本当に大丈夫かな?」
「大丈夫だよ。俺が大丈夫っつったら大丈夫なの!」


ニカッて白い歯を見せて目尻を下げてクシャって黎弥が笑った。そのままピンポンと、呼び鈴を鳴らすと、数秒後にそのドアが開いた。


「…誰だお前、」
「いやぁ、トップモデルともあろう人がこんな事しちゃうんだ!?女に不自由なんてしてないんじゃないの?それともアレか?実はすっげぇ性癖の持ち主!?だったら尚更興味持っちゃうけど俺!」


壁に寄りかかってバスローブ姿のITSUKI。あきらかにその表情を歪ませている。でも黎弥の後ろにいる私を見て一言「なるほど、」…理解したように呟いた。


「相手がトップモデルだろーが、大物政治家だろーが、FBIだろーが、俺は正々堂々戦えない奴は負けだと思ってる。そんなくだらねぇプレゼンよりも、こいつの価値はもっと高いんだよ。…神谷に何吹き込まれたのか知らねぇけど、この女に指一本でも触れたら俺が許さない。…大事な女の為ならどんな事も俺が受けて立つ!」


…そんな風に言われるなんて。決して心で思った事以外を口に出す事のない黎弥。


「ふーん。別にいいけど。あんたの言う通り女に不自由はしてねぇし。ここんとこ忙しくてそれどころじゃなかったからあの人の策略にのっただけだし、別に特段可愛くもねぇ、俺のタイプでもねぇし。」


そこまで言うとITSUKIは視線を私に移す。それからこう続けたんだ。


「お前なんてただの暇つぶしだよ。」


クスッて笑った。