澤本くん 1


「こんばんは。」


ガラッと扉を開けるといつものマスター…ではなく、新入り!?が目に入った。

私を見てすぐにぺこりと頭を下げて「いらっしゃいませ!」…よく見ると涼し気なイケメンで、ちょっとだけドキっとしたなんて。

すぐにカウンターの奥からマスターが顔を出す。


「あ、雪乃ちゃんいらっしゃい。この前はごめんね。」


いつものマスターの笑顔にホッとしてカウンターに座った。それから鞄にしまっていたタッパーを取り出す。


「マスターこれ、ありがとうございました。やっぱり私マスターのひじきが一番好き。」
「ご丁寧に洗ってくれてすみません。今日は雪乃ちゃんの為にひじきいっぱい仕込んどいたから。」


スッと早速カウンター越しにマスターからの多めのおとうしに頬が緩んだ。一口食べると口いっぱいに広がる味に自然と顔も緩む。こんな風に料理で人を笑顔にさせられるマスターは凄いと思うわけで。


「そうだ、雪乃ちゃん。うちの新入りの澤本くん。じつはこの前貸切だったのは、この澤本くんの腕を確認するためのテストだったんだ。」


マスターの言葉に黒シャツ着てる澤本くんが私の横に歩み寄って来た。


「初めまして、澤本です。常連さんとお伺いしてお目にかかれるのを楽しみにしてました。どうぞよろしくお願い致します。」


丁寧な御挨拶と、深く下げられた頭。思わず私も立ち上がって「こ、こちらこそ。」なんて頭を下げた。


「やだなぁ雪乃ちゃんはそのまま座っててください。」


マスターが笑うとみんなが笑顔になった。やっぱりここのお店は私の癒しの空間だと思う。