でも、二日後のその日、黎弥達のチームのメンツは誰一人このファミレスに姿を見せなかったんだ。
だから分かったんだ。
むしろ初めて心から思ったのかもしれない…――黎弥に逢いたいって。
バイト中ずっとソワソワしていた。
出入口のドアが開くと鳴るチャイムに一々顔をそっちに向けるけど、来る気配なんてなく呆気なくあがりの時間を迎えた。
「お疲れ様でした」
そう言ってバイト先から一歩出た時だった。
街道沿いにあるファミレスの小さな敷地に物凄い爆音を立てたバイクが数台入ってきて、あっという間に囲まれた。
眩しいくらいの光を浴びて顔を隠すあたしに、エンジンを止めて近寄ってくる色とりどりの頭の男。
黎弥の友達?
族の仲間?
そう思うけど、今まで1度だって黎弥以外の男に近寄られたことなんてなかった。
不審に見つめているあたしに向かって言ったんだ。
「カムフラージュで違う女連れてんのなんて分かってんだよバーカ!お前だろ、瀬口の本命!」
なんのこと!?
カムフラージュ?
違う女連れてる?
あたしが黎弥の本命?
何も分からなかった。
分からなかったけど、こいつらが黎弥の仲間じゃないってことだけは分かった。
そしてあたしを捕まえようとしていることも。
もしもここであたしが捕まったら助けに来てくれる?
来るわけないか。
情報通な黎弥の耳にこの襲撃が入らないわけが無い。
だから見捨てられらたんだって。
どうしても卑屈な考えしかできない。
それなのにどうしても信じたい。
散々黎弥を信じられないって思って告白を断ったくせに、それでも黎弥を信じたいと思う気持ちは、お腹の底から溢れてしまう。
「オレ達瀬口に用があんの。悪いけどお前人質に取らせてもらうから!恨むなら瀬口を恨みな。嫌な奴に好かれてお前も災難だろーけど」
いい奴なのか、悪い奴なのか分からないそいつらは、何も言わないあたしをバイクに乗せて街道を走り出した。
でも、黎弥達のチームはすぐにこっちに気づいたみたいで。
横を思いっきり煽ってくるバイク。
黎弥の後ろ以外は運転も荒くて怖くて。
顔を隠すようにしがみついていた。
しばらくそのまま走っていると、隣にピタッとくっつくように寄せる車の窓が開く。
「おいっ」
洗い運転手にグッて脇腹をつつかれて顔を上げたあたしに飛び込んできた後部座席に乗ってる黎弥。
―――――――――と、黎弥にベッタリくっついた知らない女も一緒だ。
ブワッと涙が溢れる。
せっかく逢えたのに。
逢いたくて逢いたくてやっと逢えたのに、黎弥の腕は女の肩にガッツリ回されていた。
あたしと目が合うと驚いた顔で身を乗り出す黎弥。
でもこんなあたし誰にも見られたくなくて。
すぐに顔を逸らした。
「おいっ!!貴様止まれっ!!!」
横から聞こえた黎弥の声。
でも顔なんてあげられない。
ばかはあたしだ。
もうこのまま死んじゃいたいくらい気分が堕ちた。