お気に入りってやつ


「川村となんかあったでしょ?」


肩を組まれて耳元でそう聞かれた。いつの間にか香澄の電話も終わっていて私は両サイドからがっつり捕まれて…口元を手で隠す。小さく溜息を吐き出す私を見て「やば、莉子から負のオーラが出てるよ、香澄!」こいつらー楽しんでるなぁ!


「やっば、川村ってどんな子だったっけ?」
「香澄は神谷君しか見てないから分かんないんだよー!」
「え、そんなことないよ?あたし今藤原樹狙ってる。」
「「はぁー!!?」」


香澄の発言に汐莉と二人目を見開く。いやいや神谷教官どこいった?


「ふは、さすが香澄!わたしはねぇ、北人くん。吉野北人くん、殺人級に可愛くてもー大変!仮免受かったから次から路上なんだよー。クソ楽しみ!」


おいおい大好きな俊ちゃんは?篤志くんに取られて悲しそうにしてた汐莉はどこいった!?2人ともどうなってんの?なんて思うものの、結局私自身心の中で壱馬くんって存在を大きくしていっているから口に出してないだけで何も変わらないのかもしれない。


「手握られたっ!?なにそれ、川村コノヤロー!」


テンション高い香澄とニンマリしている汐莉。今までのこととさっきのことを掻い摘んで2人に話した。ここ、居酒屋チェーン店の一角。仕事終わりに3人で飲みに来ることはしょっちゅうで、いつものお店のいつもの席で私達はいわゆるガールズトークを繰り広げていた。いつもは直人であり、俊ちゃんであり、神谷教官とのことばかりだけど、今日はのっけから壱馬くんの話題が飛び交っている。