「北ちゃんは魔法使い?」
「バレたか!」
そんなわけないって分かってる。だけどタイミングよく待っててくれた北人の気持ちが分からない程鈍感でもない。優しいだけの男なんて星の数ほど沢山いるんだろうけど、わたしって人間を見てくれる人は、この世にどれだけいるのだろうか…。
「まこっちゃんの為に泣くゆき乃なんて見たくねぇ。それが俺の本音。」
ポンポンってわたしの頭を撫でて「でも、泣くなら俺の前にして。一人で泣いてるゆき乃はもっと想像したくないから…。」小さく頷くわたしを北人はただ黙って傍にいてくれた。
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「好きになる人、間違えたかも…。」
独り言のようにポツンと口に出してまた目は北人を追いかける。どうにもあれ以来北人が棲みついているように思える。
お昼休み、サッカー部の翔ちゃんが陸先輩にお昼を誘われて学食に行くのを莉子は何とか翔ちゃんに頼み込んで一緒について行った。北人は学食にパンを買いに行ってて、教室にはわたしと壱馬の二人きり。
「…え?つーかゆき乃に好きな男なんておったん?」
「失礼な。わたしだって恋ぐらいするよ。」
「誰?」
「言わない。」
「言わんよ、誰にも。俺口硬いし、顔にも出さんやろし。」
机を椅子にして足を組み替えた壱馬はニーって笑う。耳に手を当てて「ほら言うてみ。」って。言ってどうなる?でも何もしないよりかはマシなのかも。生徒会長って役をこなしている壱馬はクラスの中でも頼りになる奴。