episode 16


「ゆき乃ちゃん、ボーッとしてるけど大丈夫?」


目の前に手をかざす海青にハッと意識を戻した。...無意識で北人ばっかり目で追っちゃってる。重症だ。


「...あ、ごめんね。大丈夫!ちょっと考え事してて。」

「悩み?」

「悩みと言えるのか...。たはは、ごめんねなんでもない。」


空笑いで海青を見上げるも微妙な顔で見返していて。


「...あのさ、今日時間ある?」


いつもと違う真剣な顔でわたしを見つめる。


「え、今日?」

「俺の気持ちは分かってるとも思うけど、やっぱりちゃんと言いたい...。」


海青の気持ち...それはいわゆるわたしを好きだって事で。確かに分かってる。本気なのか冗談なのかはさて置いて、好かれている事はさすがに恋に疎いわたしでも分かってる。

思わず視線が北人に移る。だからか、北人もわたしを見ていて...目が合うとこちらに向かってくる北人からスッと目を逸らした。こんなの北人に知られたくない。


「ゆき乃、」

「...海青また後で。」


北人を無視してスリーポイントの練習をしている樹の所へ逃げた。樹なら絶対声なんてかけてこないって分かってるから。ボールを拾って投げ返すわたしに無言で小さく頭を下げて、尚も練習を続ける樹。ふぅ、よかった。