「ゆき乃ちゃん、ボーッとしてるけど大丈夫?」
目の前に手をかざす海青にハッと意識を戻した。...無意識で北人ばっかり目で追っちゃってる。重症だ。
「...あ、ごめんね。大丈夫!ちょっと考え事してて。」
「悩み?」
「悩みと言えるのか...。たはは、ごめんねなんでもない。」
空笑いで海青を見上げるも微妙な顔で見返していて。
「...あのさ、今日時間ある?」
いつもと違う真剣な顔でわたしを見つめる。
「え、今日?」
「俺の気持ちは分かってるとも思うけど、やっぱりちゃんと言いたい...。」
海青の気持ち...それはいわゆるわたしを好きだって事で。確かに分かってる。本気なのか冗談なのかはさて置いて、好かれている事はさすがに恋に疎いわたしでも分かってる。
思わず視線が北人に移る。だからか、北人もわたしを見ていて...目が合うとこちらに向かってくる北人からスッと目を逸らした。こんなの北人に知られたくない。
「ゆき乃、」
「...海青また後で。」
北人を無視してスリーポイントの練習をしている樹の所へ逃げた。樹なら絶対声なんてかけてこないって分かってるから。ボールを拾って投げ返すわたしに無言で小さく頭を下げて、尚も練習を続ける樹。ふぅ、よかった。