バレンタインデー当日。
翔ちゃんと険悪だった...というか、莉子が一方的に怒っていただけなんだけど。結局あの後陸先輩と妹の事、黙っていた事を打ち明けて謝って告白した翔ちゃんは、物の見事にフラれて。だからといって陸先輩に莉子の気持ちが届くこともなく今日に至る。
その間、まいにち慎が付きっきりで莉子を癒していたのは確かで。
「それ、慎に?」
手づくりではなさそうだけど、昼休みに壱馬や北人に渡した義理チョコとはかけ離れているそれを指差して聞いた。
「...うん。てゆうか私、大丈夫かな?まこっちゃんに軽いとか思われないかな...。」
「なんで?思わないよ、そんなこと。」
「だって私、本当に少し前まで陸先輩だったのに、こんなにもまこっちゃんの事ばっかで。」
なんだか数日前の自分の気持ちとダダかぶりしているようで可笑しい。
でもそれが恋、だと思う。感情を脳でコントロールできないのが、人を好きになるという事だと思うわけで。
「慎、死ぬほど喜ぶと思うよ。ずーっと莉子のこと好きだったからねー。」
「それ本当かなぁ。なんか自信ないけど...」
「大丈夫!わたしが保証する!」
ポンと背中を押すと莉子は大きく深呼吸をして紙袋片手に慎との待ち合わせ場所へ急いだ。