「海青、聞いてねえぞ、樹がこんなイケメンだって。」
不意に後ろから聞こえた北人の声と、わたしを自分の方に寄せる北人の腕。ペタンとその場にしゃがみ込むわたしを横から覗き込む北人の顔は明らかに不機嫌。
「樹、女にモテすぎてそれがウザったくてこんなにだっさい恰好してたんですよ。な?」
「うるせぇ海青!」
てか喋り方まで変わってる?…これがリアル樹なの?慎や北人も相当綺麗だと思っていたけど、これはダメだ、別格だ。キングだ、勝てまい。
「おい、今何思った?」
まさかの北人の言葉に苦笑い。
「な、なにもー。」
「嘘つけ。樹のことかっこいいって、思ったでしょ?」
「思ってにゃい。」
「噛んでんじゃねぇかー!このー。樹、その顔絶対誰にも見せんなよー。ゆき乃は樹のこと、忘れるこーと。」
忘れるこーと?忘れるの?この顔...。
「わかったー。じゃあ北ちゃんが忘れさせて?」
「あったり前だろー!」
不満気にわたしの手を握る北人に連れ去られるわたしを樹がほんのりウインクしたのは秘密。