雄英高校
反省会 その後モニタールームで講評、そしてすぐほかのチームの観戦。
無事、初めての戦闘訓練を終え、着替えて教室に戻ると語り合う暇もなくすぐさま次の授業が始まってしまった。
そして放課後。
切島達が始めた訓練の反省会に積極的に参加するでもなく、触手に複製した耳や目で様子を観察しつつ、障子は教室に留まっていた。
アレは良かったとかアレは悪かったとかアレはこうしていればベストだったとか、あの場面で誰それの個性ならこうできたよな、とか。そんな話で盛り上がっている。
特に話題に上るのは爆豪、緑谷、轟そして西岐だ。
「あれはほんとすごかった、どういう仕組みなんだ?」
「れぇちゃんの個性って瞬間移動じゃないの?」
「あー……うん、さあ?」
尾白と耳郎の突っ込みに西岐は首を傾げる。自分でもよく分かっていないのだろうか。
「魔王の玉座の間に入り込んだ気分を味わったぞ」
「はは……とこやみくんもなんか、あの影? 強いしすごかったぁ」
「ワーイ、れぇチャンニ褒メラレタ」
「わわ、え、しゃべれるの?」
自分の机を椅子代わりに座る常闇の脇から黒いモンスターのようなものが伸びて西岐に話しかける。驚きつつも気に入ったようで触ろうと試みたり挨拶したりしている。
そのタイミングで教室の前方扉付近が騒がしくなる。
今日の戦闘訓練を盛り上げた第一人者・緑谷が保健室から帰還してきたことでクラスのムードメーカタイプがわらわらとそちらへ押しかける。
「騒々しい」
常闇がそう呟くや否や、委員長の飯田がすっ飛んでくる。
「机は腰かけじゃないぞ、今すぐやめよう!!」
「いいじゃんそのくらい」
「てかなにその手」
もっともな意見だが一緒にいた耳郎と尾白から反撃を食らう。
飯田も相当生真面目な性格なのだろう。そこで折れることはなく寧ろ考えを改めるまで諫め続けるとばかりに身振り手振りで語る。
「偉大な先輩たちが使用してきた机を蔑ろにする行為を看過することはできない!!!!」
「騒々しい」
だがそれも糠に釘らしい。
聞き流す常闇と、呆れたように肩をすくめる耳郎達。
「ねえ。れぇちゃんからもなんか言ってやってよ」
その場にいた西岐にも飯田へ反論させようと耳郎が振る。彼の影響力はもはや周知の事実なのだろう。
すっかり常闇の影と戯れるほうに気を取られていた西岐は疑問符を張り付けながら飯田に顔を向けてじっと見つめているような間を置いた。
「んと、俺はいいだくんのそういうとこ、好き」
西岐は口元に笑みを浮かべながらとんでもない爆弾を放り投げた。
思わず障子も動揺して顔を向けてしまったほどだ。
「飯田、死んだな」
動かなくなった飯田に憐みを込めて呟く尾白だった。
create 2017/10/02
update 2017/10/02
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