同居人は甘えた幼馴染 (4/10)






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部屋に入るなり私は寝室へと向かい、寝室で私服から部屋着に着替えると再度リビングへと戻ってきた。


「…私これから夕飯作るけど、いる?」


何度かはこの部屋に入ったことのある湊はなんの遠慮もなくソファーで寛いでいた。

湊がいつから私のアパート前にいたのかはわからないけれど、大学が終わってからはかなりの時間は経っていたはず。


「いるー!!美和ちゃんの久しぶりの手料理嬉しいなぁぁ♪」
「夕飯食べてないの?」
「友達と食べに行ったけど、結構時間経ってるからお腹空いちゃった!」
「…あっそ。まあこんな時間だからたいしたものは作れないけど、待ってて!」
「うん。待ってる!」


湊の返事を聞いてすぐに私は調理に取り掛かった。


***


──数分後。


私はお皿に盛り付けた料理を両手に持って湊のいるソファーの側にあるテーブルの上に置いた。


「はい、おまたせ!」
「あーー!オムライス!美和ちゃんのオムライス久しぶりだー!!」


そう今晩は1人の時だと滅多に作ることのないオムライスにしたのだ。

湊は昔から私の作るオムライスが大好物で湊とご飯を一緒にする時の大半たいはんはオムライスだった気がする。

まあ湊はあんまり好き嫌いないからたぶん私が何を作っても食べてくれると思うんだけどね。


「そんなに久しぶりだっけ?私のオムライス。」
「久しぶりだよー!だって美和ちゃん3ヶ月くらいは実家帰って来てないし最後に美和ちゃんのオムライス食べたのも3ヶ月前だったし。」
「そうだっけ?てかよくそんなこと覚えてるね。」
「覚えてるよ!美和ちゃんとの思い出は全部覚えてる!」
「…あっそ。」
「いただきまーす!」


湊はそう挨拶をすると、オムライスを食べ始めた。


「…うーん、やっぱり美和ちゃんのオムライスが1番美味しいー!!」


湊は "1番美味しい" なんてそんな大袈裟を言いながら幸せそうにオムライスを食べていた。

私もそんな湊を見ながら思わず苦笑を漏らしてスプーンを手に取りオムライスを食べ進めたのだった。



***



「………はあ〜〜美味しかった!!」


そう言いながら湊は再度ソファーの背もたれに背中を預けて寛ぎ始めた。

私も湊が食べ終わって数分後に食べ終わり、コップに注いだお茶を一口喉に流し込んでから口を開いた。


「……で、これからどうするの?」


とりあえず今晩は泊めてあげるにしてもこれから湊がどうしたいのかを聞いておかなきゃと思いそう湊に尋ねた。


「……いつまでか俺にもわかんないから日程をはっきりとは決められない。それに自分がどんな仕事にきたいかも正直決まってないんだ。親父には自分がどんな仕事にきたいかを決めてからまた話しに行こうと思ってる。だからそれまでは俺、美和ちゃんのところにいたい。…美和ちゃんダメかな?」


湊は再度、瞳を潤ますかのような表情で私を見据えてきた。


だけど、正直驚いた。

湊が父親と揉めて家出してきたとはいえ、ちゃんとこの先どうしたいかまで決めて私のところまで訪ねて来ていたことに──。


「……わかった。そこまで決めてるなら暫くはここに居ていいよ!」
「え?いいの?」
「うん。但し就職決まるまでだからね?」
「うん、ありがとうー!美和ちゃん大好きー!」

湊はそう言いながら今晩3度目の抱擁ほうようをしてきた。

慣れてるとはいえ、さすがに1日何回もされるのは正直鬱陶 うっとうしく思った。


「あーーもう!だからイチイチ抱きつくなー!!」
「えーーー?!美和ちゃんのケチーー!!」
「ケチじゃないわよ。少しは控えなさいよね!この抱擁癖ほうようぐせ!」
「無理ー!!俺、美和ちゃんに抱きつかないと生きていけなーーい!!」
「…大袈裟な!…もし彼女いたら抱きついてこないんでしょ?」
「まあそれはそうだけど。でも俺、暫くは彼女いらないから!」
「……あっそ。」


別に私はツンデレというわけではない。

ただ、湊のスキンシップが激しいせいかいつの間にか冷たく あしらうようになっただけ。

それにこうして冷たく あしらうのも湊にだけだし
湊とは昔からこんな感じで幼少時から一緒だった。


──そういえば、湊が私に抱擁ほうようして来ない時なんて今まで一度もない気がする。

湊には毎日会ってるわけじゃないから私と会ってない間のことはわからないけれど、湊の口振りからして彼女がいた時期もあったってことになる。

私が独り暮らしを始めたのは実家から今の就職先が少し遠い距離だったから。

だから私が独り暮らしを始めてからは湊に会う機会も少なくなったのだけれど、湊は何度か独りでこのアパートに来ては私に抱擁ほうようしていた。

湊に彼女がいた時期がいつかは知らないけれど、私への抱擁癖ほうようぐせがないことが "彼女いた" 時期と何なとなく合っていない気がしていた。

まあ湊にいつ彼女がいて…。
とか考えても私には関係ないことなんだけどね。



私はそんな思考をしながら時計を見ると、時刻はいつの間にか日付が変わる少し前になっていた。


「…湊、お風呂入るなら入ってきて!それと、あんたの寝室は私の寝室の隣の部屋ね!布団は後で用意しておくから!」
「うん、わかった!なにからなにまでありがとうね美和ちゃん!」


湊はそう感謝の言葉を述べながらソファーから立ち上がるとお風呂場へと向かって行った。


私は湊がお風呂に入ってる間に─と思い、湊が寝室として使う部屋に布団を置きに行ってから夕食後の食器洗い等を済ませたのだった。




























──これから湊が暫くこの部屋にいるわけだから私の1人という至福の空間が壊れてしまったことにほんの少し悲しくなったのは湊には秘密──。




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