同居人は甘えた幼馴染 (9/10)
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──その日の講義を終え友人1人とは別れて友人もう1人と夕飯までの時間をゲーセンに行ったり本屋に行ったりして時間を潰してから19時10分前になった頃で夕飯の為に一軒のファミリーレストランへと足を運んだ。
店員に席を案内されメニューを見て夕飯になるものを注文してすぐ後に友人から質問された。
「湊、今日バイトは?」
大学に入って暫くしてからだけど、俺はある居酒屋でアルバイトをしていた。
当時は未成年だったけど、店長は友人の叔父ってこともあり特別にアルバイトさせてもらっていて友人と2人で気付けば2年程続いていた。
「今日はないけど。」
「そっか……俺、22時からあるんだよなぁ。俺が妹の息子だからってさ湊よりシフト入れられてるよ。」
「親族なんだから許してやんなよ。」
「わかってるけど、なんかムカつく!」
友人と一緒にいて飽きないのはこの友人の性格にもあるかもしれないとふと思った。
目の前にいる友人は特にムードメーカー的存在で一緒にいて楽しいんだ。
「……なあ。」
「なに?」
「湊ってさ、好きな人の前だとどんな感じなわけ?」
「……は?」
突然、友人からされた質問の意味が理解できなくて
「…ほら、今まで付き合ってた女達の前ではクールな感じだったじゃん。湊が本気で好きな相手がその幼馴染みならさ、今までの女達の前とでは違うってことだろ?だから気になった。」
「…………。」
友人の言葉には納得した。
俺が唯一素で居れて唯一甘えれる相手は美和ちゃんだけだから。
友人の言う女の前でクールだった自分は素ではないのは確かだし相手に甘えれないのは本当に心を許していない証拠なのだ。
だけど、俺が美和ちゃんに対してどんな感じかなんて恥ずかしくて言える訳がない。
俺は美和ちゃんに対してはいつだって甘えていたいしなんせ美和ちゃんの姿を見るだけで
昔からその
「……教えない。」
「なんでだよ!」
「言いたくないから。」
「えーー!余計気になるー!教えろよ!」
「絶対に教えない!」
「え?教えれないくらい今までの女と違うの?」
「……知らねぇ。」
「なに?すっげぇ気になる!」
「だから教えないって。」
「教えろよー!!」
「絶対に教えないから。」
友人とのそんな言い合いは夕飯を食べ終え帰るほんの間際まで続いた。
まあ最後まで俺は絶対に言わなかったけどね。
ただ友人はまだ諦めていないっぽかったから次会ったらまたしつこく聞いてきそうだけど。
***
友人と別れてすぐ後に俺は腕時計を見ると時刻は21時を指していて思っていたよりも友人とは長時間いたようだ。
アルバイトの結構ギリギリまで長時間一緒にいてくれた友人に感謝しながら俺は美和ちゃんのアパートのある方角へと向かった。
美和ちゃんのアパートには何度も訪れたことあるし勿論部屋にも何回も入れさしてもらっている。
泊まらせてもらったことは2,3回程だけど。
でも、今回は1泊程度のものじゃないから美和ちゃん怒るだろうな。
───そんなことを考えながら到着した美和ちゃんのアパート前。
ロビーまではこのアパートの住人じゃなくても入れるから迷うことなくロビーに入りロビー内の端に設置してある呼出機器を操作して美和ちゃんの借りている部屋ナンバーを入力して呼出ボタンを押した。
けれど、応答はなくまだ美和ちゃんは帰宅していないようで俺は仕方なくロビーから外に出るとアパートのすぐ近くにある花壇の縁に腰掛けた。
美和ちゃんの携帯番号とLINEは知っているけれど、連絡するつもりはない。
電話しても理由が理由なだけに美和ちゃんからは罵声と拒否の言葉を浴びせられるのは分かっているから。
それに美和ちゃんに会うのも久しぶりだから思いっきり甘えたくてたまらない。
そう思考していたら俺は結局美和ちゃんにしか甘えられない
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