夜の街

私は啓人ひろとがいなくなると、靴を脱いで玄関を上がった。

部屋の奥に進むと、2LDKの広い部屋だった。

部屋にあるものは好きに使っていいとは言われたけれど、なんか勝手に使うのも抵抗がある為、とりあえずソファーに腰掛けて先程受け取った名刺のような大きさの紙を見てみた。

そこに書かれていたのは携帯番号とSNSメッセージのIDだった。

そして、その裏面も気になって裏返してみると…

【Diamound
源氏名 ヒロ
080-××××-××××
SNS ID:hiro×××dia】

と、記載されていた。

だけど、そこに記載されていた番号とSNS IDは別のもので啓人ひろとが書いてくれた方がプライベートのようだ。

てゆうか "源氏名 ヒロ"って…。

啓人ひろとの仕事ってもしかしなくてもホストなんだと思う。

そりゃあこの時間にあの場所にいるとしたらそういう職業だよね。

啓人ひろとの格好だってスーツは着てたけどサラリーマンって感じではなかったし。

――とゆうかホストといえば良い話なんて聞かない。

"女に貢がせてナンボの世界" ってよく耳にする。

――ひょっとして私…とんでもない人に助けられちゃったかな?



だけど、啓人ひろとは最初から "ホストとしてじゃない" ――普段の姿だった。

それに名前も名刺に書かれている…"ヒロ"じゃなく― "啓人ひろと" で教えてくれた。

――だから私は……私には…
"ホストとしてのヒロ" じゃないって信じてもいいんだよね?

私はそう思い直し番号を登録した後にメッセージアプリを開きIDを入力し友達追加をしてから啓人ひろとにメッセージを送信した。


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