夜の街

――数分後。

啓人ひろとはある一軒のマンションに入って行った。
勿論私もその後に続いた。

エレベーターに乗り、部屋の前まで来ると鍵を開けた。

啓人ひろとは私に先に入るよううながすと後から一緒に入って来た。


「部屋にあるの好きに使っていいからさ。あと…」

啓人ひろとはそう言って1枚の紙を取り出すと、何かを書き込んだ後私に渡してきた。

「俺、まだ仕事あるから何かあったらここに電話してくれたらいいから。」
「…わかった。」

私はそう返事をしてその紙を受け取った。

「…でも、仕事中なら電話取れないんじゃ…。」
「まあ取れなかった時は掛け直すからさ。」
「うん、わかった。」
「じゃあ行って来る!」
「うん、行ってらっしゃい。」

私がそう返事をすると、啓人ひろとは玄関から出て行ってしまった。


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