
No.1な彼
「…啓人は…どうして昨夜、私を助けてくれて…。家にまで入れてくれたの?」
それが私がずっと聞きたかったこと。
見ず知らずの私を助けてくれた上に家にまで上がらせてくれたのがずっと不思議で仕方なかった。
「…ナンパから助けたのは麻弥が嫌がっていたから。嫌がってる女を見過ごすなんてできなかったんだよ。」
啓人のその言葉に胸の奥が締め付けられるのを感じた。
「…家に上げたのは……俺と似てたから…かな。」
「…え?」
啓人の "俺と似てた" という言葉に理解できなくて頓狂な声を出してしまった。
「…俺も家出みたいなもんってことだよ。親父と喧嘩して…二十歳の時に家を出た。…大学行ってたけど、中退して…今に至るわけ。」
啓人のその言葉に本当に似たような理由で家を出たんだ―と、納得してしまった。
だから私の家出の理由は知らなくとも "家出" という言葉を聞いて自分と重ね合わせて家に上げてくれたんだと理解した。
「…そうなんだ。…啓人って今何歳なの?」
「23歳。職業は名刺渡したから気付いてると思うけど、ホストしてる。」
――それから啓人に私は色々質問ばかりしちゃったけれど、啓人は隠すことなく教えてくれたのだった。
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